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アルマゲドン・タイム ある日々の肖像コメント(1)
子どもに差別や不公平を教えるのは大人だというのがよくわかった。薄皮を一枚ずつ剥いでいくように不安と痛みがじわじわ襲ってきて、ラストまでそれは消えない。
移民、人種、偏見、色んなものを乗り越えて生きねばならなかった時代の人たちの痛みを、子どもの目を通して描いた素晴らしい作品。
主人公は自由で空想家な子どもらしい子どもなのだけど、移民としてある程度成功を収めた家族の期待する道は彼にとっては理想的な世界ではなく、ちょっとしんどい。
とはいえ差別を乗り越えて努力で幸せを手に入れたので、子どもにも負けない人生を歩ませたい親心は、私も親の身として理解できなくもない。
ユーモアに溢れた人格者のお爺ちゃんが荒ぶる孫を猛獣使いのように上手くコントロールしていたんだけど、お爺ちゃんがかけた沢山の言葉は多分その後の彼の人生のあらゆる場面で影響していると思う。
主人公は家族に恵まれていた。
ここが物語の核になる。
対して相方のジョニーはどうだろう。
恵まれない環境から大人にならざるを得なかった子の、子どもらしからぬ冷めた目。
子どもらしかったのはポールとイタズラしてた時だけ。
問題が起こるたび、この子が大人に対して意見する言葉は子どものそれではなかったように思う。甘えや媚びなどない、自分に対して優しくない世界の全てを理解しての言葉は、とても心に刺さった。
人生は不公平、幸運に素直に感謝する、この二つは私にとって忘れられないパワーワードになった。
正直、観た後に心が穏やかになる映画ではない。
けど、この世に生きる誰しもが知るべき真実が描かれていると思う。子どもの目を通してっていうのがまた真実味を増す。