巨大隕石の衝突が迫る地球最後の日を舞台に、新しいテクノロジーが人類にもたらす恐怖を描いたSFスリラー。巨大な隕石が地球に落ちるところを宇宙空間から目撃したデビッドは、自分以外の人類は全滅したかもしれないと考えながら、AIのエヴァに話しかける。その頃、未曾有の危機に陥った地球では警報が鳴り響いていた。出演は「アナベル
死霊館の人形」のアナベル・ウォーリス、「スター・トレック
イントゥ・ダークネス」のアリス・イブ、「ダニエル」のパトリック・シュワルツェネッガー。新宿シネマカリテの特集企画「カリコレ2022/カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2022」(2022年7月15日~8月11日)上映作品。
ワーニングコメント(1)
man on radio: An android companion is not an approved expense.
David(astronaut): Um, can you really put a value on human life?
man on radio: You were registered at a cost of $500,000. The
android costs $40 million. Please get us those
readings STAT. Human on Earth are not handling the
recent surge in thunderstorms well.
David: Yeah, I got your readings right here all right.
automated voice: Warning!
David: Mayday, Mayday, mayday!
automated voice: Warning! Warning! Warning!
映画は船外活動をしているアンドロイドの1%ぐらいにしか価値を見いだせない最低ランクの宇宙飛行士デビッドが突然、電力サージによる災難に出くわすところからこの物語が始まる。
本編は有名どころのSci-Fiドラマのシナリオやセット・アップの集合体のようなアンサンブル・ドラマで、例えば最近でいえば『オルタード・カーボン』や古い方の『ブレード・ランナー』などに登場してきそうなレプリカント風アンドロイドやアドバンス的テクノロジーの中にも70年代や80年代の雰囲気のある家具類や装置類のアンバランス観が見て取れるかもしれない。そして本編で見逃してはいけないのはアンサンブルの一部がブランドン・クローネンバーグ監督の『ポゼッサー』の短縮版となっていることが挙げられる。
映画『ワーニング』は人に性癖や資質に対する簡単に想像できる最高の概念の1つであり、AIも同じメソッドである、人類の最悪の性質といえる"けち臭い"ことや"階級差別"主義的で、しかも人に平気でうそを吐く"偽善"な面をアンサンブル・ドラマとして描いていて、その中にモーゼの十戒の解釈ともとれるところも...
"Thou shalt have no other gods before Me"
「お前は私の前に他の神を持ってはならない」 ➡ ポーランドの名匠クシシュトフ・キエシロフスキー監督による『デカローグ 第1話 ある運命に関する物語』の十戒の言葉をこの映画ではバーチャルアシスタントSiriのような装置を登場人物の女性が"God" と呼んでいるところに「お前は私の前に他の神を持ってはならない」という戒めを表しているようにも見える。
この映画はとにかく前後の繋がりや脈略といったシナリオの展開がないので稚拙なあたしみたいな者が見ると意味が分からず、取り散らかしているとしか思えず、最後にはゾロアスター教およびアブラハムの宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラーム教)が共有する終末論的世界観であり、各宗教のバック・ボーンとなる重要な教義としての"Last Judgement"とかシュワちゃん映画の合言葉"judgment day" と呼ばれる「最後の審判」で締めくくろとしているけどこの映画製作者では下手をすればブラック・ジョークの短絡的なコメディと受け止められても仕方のない代物に成り下がっている。
ただ、嫌みな言い方をさせていただけるなら、この映画をすんなりと理解できる人が仮にいたとしても全然、羨ましいとは思えないところにこの映画の何たるかが?分かるのかもしれない。