「ミレニアム」シリーズ、「プロメテウス」のノオミ・ラパスが主演と製作総指揮を務め、ナチスから暴行を受けた過去を持ち、妄想と現実を行き来する悪夢に囚われた女性の姿を描いたサスペンス。1950年代のアメリカ郊外。かつてナチスの軍人だった男から戦時中に暴行を受けたマヤは、街中で偶然その男を見かけ、復讐心から男を誘拐。夫のルイスの手を借りて自宅の地下室に監禁する。マヤは殺したい気持ちを抑え、男に罪の自白を求める。しかし、男は人違いだと否定し続ける。主人公マヤ役をラパス、監禁された男役を「スーサイド・スクワッド」シリーズのジョエル・キナマン、夫のルイス役を「夜に生きる」のクリス・メッシーナがそれぞれ演じるほか、リメイク版「ペット・セメタリー」のエイミー・サイメッツが脇を固める。監督は「ベツレヘム
哀しみの凶弾」のユバル・アドラー。
マヤの秘密コメント(3)
再びそれと向き合う必要が出てしまった場合の
解決に及ぶ一つの例を見る事が出来ます。
B級サスペンスと呼ぶには1960年ごろの
アメリカの舞台がよく再現されており感心しました。
特別なテイストが一切無しでしっかりとまとめられており
色々と考えさせられました。
ホロコーストがテーマの映画は毎年のように作られているが、本作がそれらと異なるのは、マヤがロマ(ジプシー)であるという点。ナチスの迫害はユダヤ人以外に同性愛者や身体障碍者、聖職者などにも及んでいたが、ロマもその対象だったというのは本作で初めて知った。
迫害、拷問の対象となっていた者がナチスに復讐する作品は、最近だと『復讐者たち』があったが、こちらは極めて私的な復讐。マヤが監禁した男は果たして加害者だったのか?それとも…という疑念で進むストーリーは、主要人物の少なさから舞台劇っぽいなと思ったら、ロマン・ポランスキーも映画化した戯曲『死と処女』の翻案説もあると知り納得。
次第に現実と妄想の狭間に囚われていくマヤの狂気が見ものだが、オチが予想を超えないままで終わってしまうあたりが、主要人物の少なさが裏目に出ちゃったかなと。
拉致される男役のジョエル・キナマンは『スーサイド・スクワッド』シリーズの印象が強いけど、リメイク版『ロボコップ』ような苦悶に満ちた役どころが映える気がする。
原題の「The Secrets We Keep」が、“I(マヤ)”ではなく“We”の理由を知りたければ、是非ともチェックを。
Lewis: We can release him. He won't go to the police. We can
get out of this, Maja. Get our lives back to normal.
Maja: My life will never be normal.
ヘミングウェイに言わせるとアメリカ文学の根幹をなすのはすべてマーク・トウェインから始まっているらしい。そしてアメリカ文学と言えば父親がドイツ系移民のジョン・スタインベックを外すことは決して出来ない。その彼の原作本の一部を脚色した映画『エデンの東』では第一次大戦のアツレキからドイツ人靴屋が暴行を受けるシーンがあったのは... 古すぎるのかも知れない。
"Gypsy Cunt" これは英語であるけど作中、ドイツ語でマヤがトーマスに言わせようとする。失礼下品で⁉
映画全体を通して、一連のフラッシュバックは、ドイツのSS兵士が女性を殺し、レイプしていることを明らかにしているけれども演出の為か、画面が暗くハッキリとトーマスがその兵士と見分けがつかないような嫌らしいさのあるところがある... そのように気を持たせないと面白みもなく仕方ないにしろ
この映画の監督さんはイスラエル出身ということ... 前出のスタインベックが何故、アメリカ文学の巨人と言われるのかを考えれば当然、こんな映画、面白くもへったくれも関係ない... 少し厳しめに言いました。
ナオミ・パラスとしたらもっと彼女ならサスペンス感を盛り上げることが出来たかもしれないのに最後の落ちでは白けてしまっている。