スティルウォーター

フランスのマルセイユを舞台に、アメリカ親父マット・デイモンが一人娘のために奔走する。

言葉が通じず、手探りで行動する主人公という構図は「第三の男」を彷彿とさせてハラハラするし、ことの次第は思わず主人公の肩を抱いてやりたくなるほど切ないものだ。

マット・デイモン演じる親父は妻に先立たれ、娘を一人で育ててきた。しかし、娘には信頼されていない。かつてアルコール中毒に悩まされ、妻の遺品も自分のミスで失くしてしまう。逮捕歴もあり、信頼されていなくて当然といえば当然だ。娘を助けるための行動も裏目に出てばかりだ。しかし、それは娘も同様だ。というか、観客を含め人間誰しもそうだ。いや、勿論犯罪はダメだけどさ。人生は自分や他人の様々な思惑や行動が絡み合い複雑になっていく。その混沌が、美しくも雑多なマルセイユという街に重なり、雰囲気は最高だ。

監督はトランプ政権になってからのアメリカ国民の意識の変化という要素も取り入れたかったようだが日本人には分かりにくいし、例えば実際に大切な人が異国の地で危機に直面したとしたら、その人のこと以外なりふり構わず救おうとするのは当然なことであり、アメリカファーストの考えが充満したせいにするのはしっくりこない。

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番組の収録中にセクハラをして訴えれたのに離婚裁判中なこともあり全面否定をし、独身時代のセクハラ行為は公に認めるユダヤ人のベン・アフレック。

麻薬依存の為に急逝したリヴァー・フェニックスを兄に持ち、そのことで映画界では同情的な人が多いなか、人の人情を踏みにじる人として、決して作ってはいけない映画『容疑者、ホアキン・フェニックス』をベン・アフレックの弟のケイシーと共同制作しているホアキン・フェニックス。彼ケイシーもまた兄と同じように過去の性的暴行疑惑の問題が挙がっている。その彼と義弟関係にあたるホアキン．．．　✖

そして最後に控えているのが、この映画『スティルウォーター』に主演しているマット・デイモン．．．　こいつが一番たちが悪い。それは、彼がベンやケイシーの凌辱する現場にいたのにも関わらず、見て見ぬ振りをしていることにある。若手ハリウッド俳優の中でも頭が切れる彼が自分の立場をよくわきまえているにもよらず弱い立場の人を守れない奴の映画なんて、☆0.5にするはずですけど．．．　さすがに体面的に☆2にする優柔不断さって．．．　何か？
そして彼ら4人に共通していることが、全員何らかの形でオスカーを受賞している。
だから、オスカーなんてクダラナイ！
さらに付け加えるなら頭のいいムジナとしてナタリー・ポートマンは『容疑者、ホアキン・フェニックス』に出演していたのにも関わらずWiki には載ってはいない。

"Does my name belong to me? My face? What about my life?
My story? 　Why does my name refer to events I had no hand
in? I return to these questions 　because others continue to
profit off my name, face, and story without my consent.
Most recently, the film Stillwater."
原作者のアマンダ・ノックスが怒りを爆発させている。だって、最初から彼女の許可も得ずに映画製作するってどうなのよ？　多分、彼らの頭の中にはウジがわいている。失礼下品でした。

Bill: Life is brutal.
マット・デイモンのこんな言葉で締めくくるとはどうかしている脚本も書いている本作の監督のトム・マッカーシーという人は、サブプロットを詰め込みことで途中で意味不明となり折角の国歌にもなっているマルセイユのきれいな景色はワンシーンだけのおざなりだし、マット・デイモンのいい加減で就労ビザもなしによく仕事しているし、この映画の設定ではアメリカでは職が無いのに何故かお金を持っているし、何回も行っている決してバカにならないフランスへの渡航費用のそんなお金どこから湧いて出てきたのか？　辻褄が全然見えてこないことだけは言えるかもしれない。

この映画とどことなく共時性を感じる差別主義者が製作した、主演もユニセフの親善大使なんかをしていたニコール・キッドマンのサスペンス・ミニドラマ『Bangkok Hilton(1989)』を昔、南の島で働いていた時に観たのを思い出す。タイ人を本当にバカにしたような映画でしかもタイでは死刑制度を中止しているにもかかわらずブローニングM2のような重機関銃で処刑を執行するってタイの人は仏教徒なので体がバラバラになるような死刑ってあり得ない。酷い映画だったけれども？　ニコール・キッドマンがサンドラ役で父親とは名乗らずに彼女を地獄のような監獄から脱出させる映画だったと思うけれどさすが差別立国なことはある。

ダラダラと虫唾がはしるような映画なんて誰が見るのか．．．　そうだあたしだった⁉

「扉をたたく人」や「スポットライト」で知られるトム・マッカーシー監督作なだけあって、極力少ない言葉数を用いて、主人公の陥った複雑な状況をわかりやすく伝える手腕には全く恐れ入るばかりだ。投獄された娘。事件の真相をめぐる父親の奮闘。はたまた、マルセイユで出会う母娘との心温まる交流ーーー。マッカーシーが従来の脚本執筆のやり方とは根本的に異なるやり方、すなわち異国の書き手とのコラボレーションによって構築した本作は、自ずと”異邦人”というモチーフを掘り下げ、それによって暗に「アメリカとは何か」を浮かび上がらせているように思える。冒頭シーンで不意に映し出される荒れ果てたアメリカの一帯も、主人公たちの心の情景を的確に表現したものなのだろう。決して明瞭な結末ではないが、その陰影が観る者に多くを問いかける。マット・デイモンら俳優どうしの空気感の醸成も素晴らしく、娘役アビゲイル・ブレスリンの存在感もさすがだ。

いいなぁ、マット・デイモン。ほとんど全編がフランスのマルセイユ。マルセイユの鉄道駅から海への道へとつづく長い階段、地中海の青い海、映像でみられるだけでも素晴らしい。その中で、不遇な主人公と娘、それを助けるフランス人親子とのふれあい、家族、恋愛を考えさせられるヒューマンドラマだった。おススメです。

マットデイモンだからハードボイルドな娘奪回の強面映画かなと思ったら、どっこい寡黙で正義感強い、ひたすら娘を愛する中年親父だった。
中流以下の学歴なしのアメリカ白人労働者の悲哀をかんじさせる役作り。
マットの役者技量を見せて貰った。
秀作です。