「ファーゴ」「マグノリア」などで知られる名優ウィリアム・H・メイシーが初監督を務め、死んだ息子が残した楽曲を歌い継ぐ父親と、その歌に魅了されたミュージシャン志望の青年が、音楽を通じて再生し、成長していく姿を描いたドラマ。やり手の広告宣伝マンだったサムは、大学生の息子ジョシュを銃乱射事件で亡くしてしまう。会社を辞め、荒んだ生活を送っていたサムは、別れた妻から音楽好きだったジョシュが残したという歌の歌詞とデモテープを受け取る。その曲を聴き、息子のことを何も知らなかったことに気付いたサムは、ジョシュの遺品でもあるギターを手に、場末のライブバーでステージに飛び入り参加する。そんなサムの演奏を聴き、感銘を受けたロック青年のクエンティンはサムを説得し、親子ほど年の離れた2人はバンドを結成することになる。
君が生きた証コメント(20)
序盤は何でという気持ち「必要以上にメディアに追い掛けられたりとか」
中盤ぐらいに理由が分かった時、ほんとに驚いたし考えされられた。ネタバレはしないが。
事件のことでお父さんは息子のことを理解出来ないまま終わりほんとに辛かったと思う。
ただサムとの出会いで息子と向き合いサムとの別れで新たな一歩歩き出す。
人間って気持ちを隠せるからほんとに難しい
でもすごく重大なミスリードのせいで、後半からあんまり頭に入らなくなっちゃった。
つまり「そんな大事なことに気づかなかったって、俺が何か見落としてたの!?」って
気もそぞろになっちゃうっていう。
このミスリードって、よりセンセーショナルな演出ではあると思うんだけど
僕の場合に限っては逆効果だった。
他が良かっただけに、この1点だけが残念。
クエンティン役の人がすごく良い感じだったけど
調べてみたら若くして亡くなったらしい。
遺作も見てみようと思う。
この映画の魅力は音楽。このジャンルの音楽が好きな人は是非観てほしい。真実が明らかになるまでは淡々とした話なので飽きてしまう人もいるかもしれません。
息子が遺した歌詞。内容を理解すると彼の心の葛藤が見え隠れし、真実の糸口が見えます。最後の未完成の曲を主人公が完成させ歌う曲で涙が止まらなくなりました。
綺麗にまとまりつつも作家性を感じさせる。無駄なところがなくテンポのいいストーリー作りがいい。途中のドンデン返しにはヤラレタ!と思った。あの見せ方はうまい。墓に落書きするというのもパンクロックを彷彿とさせるし、本人のやっちまったこと、それを家族がどう考えているのかというのも伝わってくる。ボソボソっと「私の息子は殺人犯です」というくだりから曲にはいるラストシーンは胸が熱くなるものがあった。
この映画は、最初から最後まで父親の息子への愛をシンプルに貫き描きながら、前半の展開で観る者が純粋に同情している最中での突然の事実の暴露により、見事に観ている者の心にササクレを生じさせ、同情から非難へ反転する気持ちへの違和感、アンフィット感と戸惑いを唐突に起こさせた。
変わったのは父親が被害者側か加害者側かの違いだけであり、そこまで観て同情していた父親の息子への愛と悲しみは何ら変わらないのに、観ている我々の心証の反転の導き出し方は見事にショッキングであった。
ストーリー的には、父親の物語なので息子が犯罪を犯した背景などを描かずに良かったと思う。
後半、途中で生じさせられた気持ちのササクレを、若者達との触れ合いと歌を通してエンディングの曲までに見事に癒やし、観る者の気持ちも、ラストのバーの観客の気持ちも、また父親の「心情」に引き戻したことに救いがあった。
論理的には父親と息子は別人格だと解ってあり、父親に責任が無いのも解っていながら、途中の心証の反転により、見事に同情から反発心への、論理的から感情的にさせられたスイッチングに1本取られた思いがした。
曲も素晴らしく、観てから2年も経つのになかなか褪せることが無い名作です。