怒り狂う暴走牛と1000人の村人たちが繰り広げる戦いを描いたインド発のパニックスリラー。南インド、ケーララ州のジャングルにある村。冴えない肉屋の男アントニが1頭の水牛を屠ろうとすると、命の危機を察した牛は怒り狂って脱走する。肉屋に群がっていた人々は慌てて追いすがるが全く手に負えず、暴れ牛は村の商店を破壊し、タピオカ畑を踏み荒らす。恋心を寄せるソフィに愛想を尽かされたアントニは、牛を捕まえてソフィに見直してもらおうと奔走。村中がパニックに陥る中、密売の罪で村を追放された荒くれ者クッタッチャンが呼び戻されるが、アントニとクッタッチャンはかつてソフィを巡っていがみあった仲だった。牛追い騒動は、いつしか人間同士の醜い争いへと展開していく。
ジャッリカットゥ 牛の怒りコメント(15)
暴れる牛は、CGで作ったモンスターではなく、実写の普通の牛。
さっさと捕まえればいいのに、なぜか捕まらない。
この映画、たくさんの人間が叫び、走る姿以外、自分は観た記憶が無い。
本編は、予告編を50倍に引き延ばしただけだった。
なかなかのエンタメ作品でした。リズム音楽と細かいカット切り替えではじまるオープニングがインド映画っぽくない(って言えるほど観ていませんが・・・)雰囲気で期待が膨らみます。
話はひたすらシンプルなんですよね。逃した水牛をみんなで追うだけなんで。ですが、監督が描きたいのは、追うほどに大きくなり、明らかになる人間の「欲」や「卑しさ」そして「獣=欲にまみれた人間」なのではないかな?って思いました。本作は追いかけっこの醍醐味あります。予告編通りに後半は徒歩版マッドマックスみたいです。怒りのウォーターバッファロード。しかし、間違ってはいけません。追いかける話であって、チェイスはないです。
スピードはないですが、工夫が随所にあるんで、観てて飽きません。ヒヤヒヤするスリルはないですけどね。セットらしいセットがなく自然を舞台にしてるのに。見せ方うまいなー。あとは、人間の血走り感がへんな迫力です。気色悪いくらい。なんでしょ?人間の集合体が「欲」っ名前の生き物にすら見えてきます。あさましく、滑稽。
こんな姿を神様はなげいてんじゃない?って、客観的な視点で見せてくれている気がします。
ヒンドゥー教では、牛は神が乗っている生き物で、神聖な生き物だそうですね。本作はインドでもどうやらヒンドゥーの地域ではないみたいですが。そのあたりも上手く関連づけている気がします。
ストーリーの面白みは高くはないと思います、場合によっては退屈と感じる方も多いのでは?と思いますが、僕には興味深い作品でした。良作。
個人的にはクッタッチャンが好き。あの部下達のコールがしばらくリフレインしてました。
しかも牛を屠殺して売買…えっ? インドじゃ牛を食べないはずでは?
…いやいや、この村にはキリスト教会があるじゃないか。
インド人でも、キリスト教徒なら牛を食べて問題ないわけだ。
そう言えばイスラム教徒もいるから、豚は食べずに牛は食べるよね。
なるほどインドって広いから、宗教も食文化も多様なんだ。
…結局「野獣より人間が怖い」という映画。
音楽の雰囲気などは良かったが、物語としては何のカタルシスもなし。
後で調べたら、インドは牛・水牛の冷凍肉輸出量では世界一の国なんだね。
インドの宗教・食文化の多様さを再認識して、驚きました。
とても勉強にはなったけど、映画としてはあまり評価できませんでした。