オブザーブ・アンド・レポート
プロット
アメリカ
01月01日 1900 劇場で
アウシュヴィッツのチャンピオン
プロット
ポーランド
07月22日 2022 劇場で
アウシュヴィッツの生還者
プロット
カナダ・ハンガリー・アメリカ合作
08月11日 2023 劇場で
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アウシュヴィッツ・レポートコメント(20)
似た作品としては「サウルの息子」が本当に凄いと思う。
今作もまた新たな事実を知ることになった貴重な映画だった。
アウシュヴィッツ=ビルケナウ収容所に収容されたユダヤ系スロバキア人が、ナチスによるガス室での虐殺を伝えるため脱走する姿を描いた今作。2時間弱の作品は独特の緊迫感を醸し出している。
まず映像力の強さ。少し低めの位置から回すカメラワークは独特で、収容者からの視点を表現している。相手の顔がはっきり見えない影の作り方や呼吸の音なども、収容者の恐怖感を表現している。
またこの映画は、ナチスによる残虐さをただ伝えるだけでなく、こういったナチスのような思想から何を学ぶのか、また現代において何を学んでないかまでも考えさせる映画構成になっているので、
冒頭の一文、そしてエンドロールまで見逃せない作品になっている。
そう、「おもしろく」見たがっていた自分がわかった。たとえばミッション・インポッシブルのように手に汗にぎるハラハラ感、これ以上はないです、みたいな。
良くも悪くも生まれ変わった島国単一民族の戦後日本。戦争は前世の大日本帝国のやったことで、歴史を振りかえれば遺されたものが遺跡発掘調査のように所々で未だ姿形を現したりもしております ―― 私はそういう感覚で平和な日本で日々を過ごしている。そして映画をいろいろ観て、『そうだなぁ、ナチスものって、まずハズレないよね』という調子でこの映画を観にいった自分……。
だから作品からうけたのは、アウシュビッツの凄惨な事実にもまして、脱出のスリリングさにもまして、まず第一に作り手の歴史にたいする真摯な姿勢である。アカデミックなのである。
そしてこの題材が今でも関係諸国においては、かなりデリケートな題材なのだなと察せられること。この題材に娯楽性の片鱗でも挟んだら、それはこの歴史を何一つ理解していないという証しになり、総スカンを食らうだけ。そういえば2020オリンピックの某関係者がその見本のようになっていたような。
いままでたくさんのナチスや第2次世界大戦やヒットラーもの映画をみてきたのに、現実の過去の出来事としてとらえていないことに気づかされた。私の頭のなかでは、ワールドウォーはスターウォーズと変わりなく、ヒットラーもダースベイダーも同じ次元の役者だったということだ。
少しネットで勉強。公式サイトに「映画『アウシュヴィッツ・レポート』ペテル・ベブヤク監督独占インタビュー」という予告編を含む5分間映像があった。それをみて作品の土台がわかった。また「ホロコースト百科事典」というサイトで知識を増やすことができた。
自分の勘違いはよくわかった。それでもこの題材で別作品が登場してくれることを願う気持ちは、まだ残っている。
ヘイルヒットラーで10年以上洗脳されてたドイツ将校達はユダヤ人を人と思ってなかった様子がまざまざと描かれてた。一日に3000人も殺害し続け、月に9万人、トータル100万人以上のユダヤ人がガスや銃で殺され、焼かれ、証拠隠滅を図っていた事実は聞いてはいたが、映像で下半身にモザイクもない死体の山を見せられるとやはり重い。
しかし、別のことも思った。それは、少し前の中国で共産党が自国民に行った殺戮行為、現在の中国で行われているウイグル人に対する事はもっと酷いかもと思ってしまう。
シリアで政府軍が自国民を殺しているのも同様、狂った指導者の自分の意に沿わない人たちへの攻撃はいつの時代でも無くなる事は無いのかも。悲しくなる。
終始薄暗い映像で観るに堪え難いシーンの多さに退場しようかと思う程辛くやり切れない気持ちになりました。
しかし主人公らがやっと脱走出来た後からは目が離せない展開になりました。命懸けで収容所の真実を伝える二人の行動、1分1秒でも時間を無駄にしたくないと。この一瞬でも誰かが殺されてしまう現実を懸命に話しする場面は胸に刺さりました。
最後のエンドロールは私達に現実を突きつけられた様でした。