ジェントルメン

本作で最初に驚いたのは、配給会社が「ミラマックス（Miramax）」であったこと。「ミラマックス」と言えば、2000年前後のアカデミー賞関連の名作の冒頭で多く登場するアメリカの配給会社(2005年までに249個ものアカデミー賞ノミネートを獲得)ですが、近年では見かけなくなっていたからです。
それは、そもそも「ミラマックス」は(いわゆる「#Me Too」運動でハーヴェイ・ワインスタインが映画業界から追放されたりした)ワインスタイン兄弟によって作られた会社でした。
ただ、「ミラマックス」は1993年にディズニー傘下になっていて、2005年にはワインスタイン兄弟は去り、2010年にディズニーが投資会社に売却し、新作とは関係のない存在となっていました。
実はここから動きがあり、2020年に現在の、中東のビーイン・メディア・グループ（beIN Media Group）51％、アメリカ大手メディアのバイアコムCBS49％という出資比率で❝新生ミラマックス❞となっていたのです。

さて、この大まかな予備知識は、映画の終盤で少し役に立つかもしれません。
というのも、本作は、ヒュー・グラントが演じる「ゲスな私立探偵」が、マシュー・マコノヒーが演じる「ロンドンのマリファナ王」の【ミッキー】に関する実話を映画化しようと目論んでいたりもするからです。
映画の構造も面白く、「ゲスな私立探偵」【フレッチャー】が、ロンドンのマリファナ王の「右腕」【レイ】に、【フレッチャー】が密かに取材して掴んでいた事実を「映画の脚本」としてまとめ、それを語る形になっています。
映画の中で「映画の脚本」が語られる2重構造なので、意外と捻りが効いています。
そのため、少し人間関係でこんがらがる人も出るのかもしれません。
その点では、本作は配役が何気に豪華なので、以下のキーパーソンを押さえておくと混乱せずに楽しめると思います。
1人目は「チャイニーズ・マフィア」の【ドライ・アイ】ですが、これは大ヒット作「クレイジー・リッチ！」で主人公の恋人役の大富豪を演じたり、「ラスト・クリスマス」でも有名な新鋭ヘンリー・ゴールディングが演じています。
2人目は中盤から出てくるコリン・ファレルが演じる「ヤンチャな青年らを更生させる男」の【コーチ】です。この2人は有名なので、最低でもこの2人は覚えておきたいところです。
また、主人公のマシュー・マコノヒーが演じる「ロンドンのマリファナ王」の【ミッキー】は、【マイケル】という名前でも呼ばれるので、これも覚えておきましょう。

また、イギリスが舞台なので、金額がポンドとなっています。
現在では、ざっくり「1ポンド＝150円」くらいで計算しておけばいいと思います。

このように少し予備知識があった方が、より楽しめるガイ・リッチー監督作で、見れば見るほど惹きつけられる部類の作品でした。

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Location, staff, technology.
See, you're buying the substructure for the superstructure to come,
and with purchase you will inherit the best sites available, the finest
botanists and herb sommeliers in the world, as well as the most
innovative marijuana technology on the planet.
ガイ・リッチー監督自ら2000年公開の映画『スナッチ』と今回の作品が、ユーモラスで機知に富んだ、面白くて刺激的でアイラニカルな犯罪映画をコミカルに描いている部分の類似点を自ら指摘している．．．

物語りの始まりは、マシュー・マコノヒー演じる主人公のミッキーが馴染みのパブに一杯の冷えたビールとイギリスの貧しい食文化の象徴とされるピクルド・エッグを一つ注文をし、席に着くとすぐさま一発のすれた銃声と血吹雪と人の倒れる音だけが残る。

If you wish to be the King of the jungle, it's not enough to act like a
king. You must be the king. And there can be no doubt. Because
doubt causes chaos and one's own demise.　独り言のようなナレーションのような.. そして、　♪ Kiss me. mama Kiss your boy 　～　♫で始まるデヴィッド・ローリングスの果てしない苦難の道 "Cumberland Gap" の曲に合わせてオープニング・クレジットが始まる。この曲をチョイスしたセンスは、多少なりとも映画の全体像が分かる．．．　身震いもの⁉
その後、フラッシュバックした時系列のタイムラインに沿って、この機知にとんだバイオレンス・コメディの濃ゆい映画が本格的に始まる。

Weed. Bush. Skunk-amola. White widow super cheese. It's the new
gold rush. This is the thin end of a very fat wedge, sir.
- If it's such a fat wedge, why don't you keep it?
You see, I've developed a reputation as a man who came up the hard
way. You could say that there's blood on these pretty white hands.
But in the new business, once legal and under the jurisdiction of the
respectable umbrella of ministerial legitimacy, an enterprise like
this will need a face with a clean past, which sadly I do not possess.
Retirement doesn't sound so bad. Long walks in the countryside,
pruning roses with my better half, raising some cubs. I've earned it.
Look, we both know growing is only 50% of the business. I need your
European connections.
大麻の呼び方はその成分から効能や種類によって色々あるが．．．
"my better half" なんて言葉も軽く言ってのけるミッキーの持つ女性に対しての粋な振る舞いが反映されるように大麻の完全管理された生産兼工場では大量に大麻が生産され... ロンドンの相場が1ｇ = 800～1300円とすると天文学的数字となる。
ただし、乾燥させる大麻草も元は植物としての生き物．．．　育った土壌や環境、種類によっても善し悪しが決まり、ヘロインや覚せい剤のように混ぜ物を入れる根本的理由とは違い雑草などが混ざり込んだ低質のものは... いかがなものか？
それと大麻草は燃やすと独特な臭いがするので．．．
コモンウエルスの一員で元首がイギリスと同じエリザベスⅡ世のカナダは合法的に30gまでは、所持を許可しているが、イギリス内務省のスポークスマンの公式発表では、その考えは医療用以外での使用では考えていないとのこと。(イギリスの最大かつ最古の民間放送局：ITV 　2020.12.9の記事より)

Ｔhere once was a young and foolish dragon who came to ask a wise
and cunning lion about acquiring his territory. Now, the lion, he wasn't
interested, so he told the little dragon to f*ck off. But the dragon
couldn't understand what "f*ck off" meant, so he persisted and
continued and continued to ask the lion about acquiring his territory.
So the lion took the little dragon for a walk and put five bullets in his
little dragon head. End of story.
おとぎの国の魔女からの呪縛に勝てなかった後遺症からか、精彩を欠いた映画を立て続けに輩出し、ルーカスが”映画人として魂を売った”とまで言わしめた色物の拝金営利主義映画会社ディズニーを踏み台にし、ようやく、”イギリスのタランティーノ”と呼ばれたいと願っていた男の復活．．．　そのことをもろ手を挙げて祝福しているファンの多いこと．．．　でも冒頭でのシーンではガイ・リッチー監督が実際に所有しているビール・ブランド ”Gritchie Brewery” のパブを大っぴらに登場させるあたり、あまりにも公私混同がはなはだしく、違和感を感じずにはいられない。

”風吹けば... ” という日本のコトワザの代わりにかつては映画の題名にもなった"バタフライ・エフェクト" という言葉が、この映画の面白さを表し、ミッキーが闇の社会の人間なのに何故か、危機的な状況になって、彼がその危機をかいくぐり抜け脱出した時、見ている側として意味不明な安堵感を覚える。しかも引退をちらつかせることで、彼の後釜を狙う亡者たちが、あたかも明かりに群がる蛾のように集まり、お互い同士でバカし合い、終には自滅していく様子は、『用心棒』に登場した清兵衛一家と丑寅一家のようにも見えるお粗末なライバルたち。ガイ・リッチーらしいシニカルではなくアイラニカルなコメディにするあたり、バタフライ・エフェクトという定義を実践している。

ミッキーの奥さん役は当初は別の方が演じられていたけど途中降板し映画『ダウントンアビー』でも見せた意思も外見もフェミニンを感じさせるのに何故か強気の女、いや女性を演じさせればピカイチのミシェル・ドッカリーという女優さん。今回は研ぎ澄ませるだけ研ぎ澄ましたようなスリムな容姿が愚かな男たちの欲望をしりめに美において誇り高く、三美神の審判で、最高の美神としての美の女神アプロディーテを凌駕している。褒めすぎではありませんけど、何か⁉

主役のミッキーをも食ってしまっているレイという彼の右腕の存在。普段はおとなしく紳士的に相手と話をし、またよく聞く。その話をしている相手が言うことを聞かなくても紳士的に我慢するだけ我慢をしたうえで相手が納得するまで待つが、ある点を超えるとダムが決壊したようにマシンガンをぶっ放す。その役を演じた、すまし顔のチャーリー・ハナムはある意味得をしていると言える。

As stated, I am not emotional about the money. But I am emotional
about the fact that someone laid their hands on my wife. My wife!
No amount of money on God’s green earth can pay for that
transgression, Matthew. No, for that,
"I want a pound of flesh".
実業家でミッキーの大麻工場を買おうと目論み画策する実業家のマシュウ... 彼が何故、ユダヤ人なのか？　それはこの演出を生むきっかけを作った戯曲を書いた歴史上のヒットメーカーでイギリス・ルネサンス演劇の代表者でもあり、英語の授業でも取り上げられるほど貴重な言語学的資料としてばかりでなく、話の内容が現代の全ての小説や映画、戯曲に投影されていて、インスパイヤーを免れるのは至難の業となっている戯曲家の人.. その人ウィリアム・シェイクスピアという人。1597年ごろに執筆された「ベニスの商人」に登場する悪魔的商売人であるシャイロックへ裁判官の言葉
"Take your penalty of a pound of flesh" 話には続きがある
"but if you shed one drop of Christian blood when you cut it,
the state of Venice will confiscate your land and property under
Venetian law."
シェイクスピアと監督のガイ・リッチーはイギリスのイングランド出身という事で描きたかったのが手に取るように...

ベニスの商人のシャイロックは悪い奴に描かれるのは当然と単純に思っていても．．．　でもこの戯曲の結末を知れば、ある視点からの見方やキリスト教全盛の時代背景からすれば、ユダヤ教を信じている者は本当の悪なのか？　微妙と個人的には思っている。　元日弁連会長でちょうど8年前の5月3日に亡くなられた中坊公平氏の「法律は生き物だ」という言葉を思い出す。その微妙つづきで紳士的な人が誰もこの映画に出てこないということから、毛沢東による造語”反面教師”という言葉より、この映画そのものがガイ・リッチー流の皮肉った「The Gentlemen」という題名になり、そしてイメージそのものが、反面教師的映画と言えるものになっている。

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脱会した者から退会した方へ
J24のナイスアシスト
J24はこれから共感したをいくら伸ばすでしょうか。
不正をして軽く80件くらいですか。
いえいえ100件は自分自身で共感したをつけて、
今度は人気レビューアーランク3位狙いですか。

イギリスで大麻王国を築いたミッキーが、総額500億円相当の大麻ビジネスのすべてを売却して引退するという。それをめぐって、大富豪、編集長、探偵、中国マフィア、ロシアマフィア、といった連中が金の奪い合いを始めるという話。
なかなか面白かったが、ヒゲヅラ同士の会話が長いし、似たような顔してるから見分けがつきにくいのが難点。
ミッキーの妻役はもっと美女の方が良かったかも。

戻ってきたガイ・リッチー監督の勝利！って作品 (笑。

構成が極め付きで、語りの回想として物語が展開していくんだけど、
とにかく飽きない、それもそのはず、豪華すぎるキャリア組のキャスティングだから、
みなさん演技がド迫力、で、展開の速さに息つく暇もなくラストへ直行（笑。

なにはともあれ、観るべし！！。