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5時から7時までのクレオコメント(10)
90分の映画で、2時間をドキュメント風に描いてる。ちょっと早回しなシーンがあったり、、と。おもしろい。
でもあまり余韻は残らず。なんせ寝ちゃったから。。。幸福のほうがドカンときた。
クレオという新人女性歌手の午後5時から7時までの間にあちこちうろうろしたり歌ったり買い物したりしたりという日常を描く。ただ、彼女は癌ではないか?と疑いを抱いており、冒頭はカラーでタロットカード占いをするシーンから始まる。後はモノクロ。このタイトルバックのセンスがとてもよく(例えばカードを裏にしてその模様をバックに文字を写したりとか)グッと期待させてくれたのだが、そのあとはどうにもいけない。
身体の不調を抱えるクレオは病院で検査を受けた。結果がわかる7時までの間、死の不安を抱えるクレオはパリの街を流離う。(5時から7時というのはここからきている)カード占いの結果はよくなくてうんざりし、街頭の大道芸人たちの、腕に針さしたり帰る飲み込んで吐き出すといったニンゲンポンプといったちょっと気持ち悪いのを見ては「いやーん」と逃げ出したり、街角の店に飾ってあるアフリカの黒い置物を見て「きもーい」とおもったり、カフェで自分の唄をかけてみて「誰も聞いてない」とプンスカしたり、自宅に帰れば、恋人がちょっとだけ尋ねてきたり、専属の作曲家作詞家と打ち合わせしたりといったこまごまとした内容は、確かに構図やら切り取り方お洒落系小道具(部屋の中にブランコあるし…)といった映像センスがよいので見ていて不快におもうことも退屈になることもないし、まあいいんだけど、正直「だからどうした」感はぬぐえない。何度も睡眠の奈落へ落ちそうになる。なお専属の作曲家を演じているのはミッシェル・ルグランで、彼が変な唄を朗々と歌い上げるシーンで目が覚めた。ちなみに音楽も彼が担当していて、映画の中で劇中歌あるいはB.G.Mは立ち上がっている感じがする。さすが。
途中、クレオが歌うシーンを入れてミュージカル風にしたり、彼女が友達の映画館へ遊びにいって映画をのぞくところで、劇中劇のようにあちゃらかなスプラスティック無声映画(主演ゴダール)をあえて写してみたりという実験的なこともやっている。だがそれがどちらかというと風味付けに軽く、というよりも不条理気味にどっしりと挿入してしまっているのでどういう意味があるのか30秒ぐらい真剣に考えてしまった。(まあ多分ゴダールがでてくれるっていうから、とかそれぐらいの理由だろうな)クレオは公園を散歩しているときに自分のファンである休暇中の兵士と出会い、やさしい彼に心のもやを解きほぐされ、共に病院へ行き、医者から確かな返事をもらい、ようやく安心する。このときのほっとした彼女の表情がよい。7時がきたからジ・エンド。
そこここで登場する、アフリカの黒い置物やら得体の知れない大道芸人やらがおそらく死の象徴(クレオの不安の象徴)なんだろうなとはおもうがちょっと安易じゃないかしらん。ストーリーが淡々といえば聞こえが良いが、他愛もない内容であり、なおかつ展開がもっさりしていて粘つく味が良いというわけでもなくパリの風景も特筆すべき「よさ」が底光りするほどでもなかった。サスペンスらしいサスペンスにせず、肩透かし気味にはずすのがヌーヴェル・ヴァーグなのかもしれないけど、これじゃ典型的な「俺みたぜ」映画。期待が大きすぎたのかそれとも映画がアレなのか。それにしてもこの映画にでてきたシーンはいつまでも記憶に残る。不思議と印象深い映画なのだった。
様々な角度。素晴らしい何度も見たい作品。
世界音、言葉の中に、見える音色。
パリの街が大好きなので、それだけでこの映画は楽しめます。
癌を宣告されるかもしれないと、メソメソしていたクレオが。
恋人にも友人にもこの不安な気持ちを解ってもらえず、1人公園に出かけた先で軍人に出会い、クレオは病に立ち向かう決意をする。
各々との会話もフランス風詩的で楽しめるし、パリ、フランスを存分に堪能できる一作です。
フランスヌーヴェルバーグ第一線の面々の、カメオ出演もお見逃し無く!