イル・ノワール 黒い島
プロット
日本
09月04日 2020 劇場で
イル・ヴォーロ 世界遺産マテーラ・ライブ
プロット
イタリア
10月02日 2020 劇場で
英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2022/23 ロイヤル・オペラ「イル・トロヴァトーレ」
プロット
イギリス
09月22日 2023 劇場で
イル・ベント・エ・レ・ローゼ 愛するということ
プロット
日本
05月09日 2009 劇場で
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イル・ポスティーノコメント(11)
大学生の時に劇場でみて、すっかりお気に入りに。DVDも買って、最近思い立ってまた見てみました。
本当にいつ見ても名作です。「
人は良いけど、無教養で怠惰な生活を送るマリオが郵便配達の仕事に就き、パブロネルーダへの配達を始めることが物語の始まりです。
マリオはネルーダと交流を深め、詩に触れることで豊かな感受性を持つようになり、成長を遂げていきます。
ネルーダが浜辺で隠喩について語るシーン、郵便物を届けに島を自転車でこいでいくシーン、とにかくすべてが島の美しさと映像の美しさに彩られていて、不思議な詩的な感覚すら覚える映像もとてもよかったです。
マリオはネルーダの詩に見せられつつ、島のレストランのウェイトレスのベアトリーチェに恋に落ちながらも、ベアトリーチェに愛を伝える言葉をしらない、ネルーダに愛を伝える詩を書いてほしいとせがむのですが、このだめっぷりも本当によいですね。
さらには、ネルーダが妻に送った愛の詩をベアトリーチェにささげてしまうほどのだめっぷり。
ネルーダが人の書いた詩をあたかも自分のもののように使うなんて…的な非難をマリオに浴びせますが、マリオは「詩は書いた人間のものではなく、必要としている人間のものだ」と言い返し、ネルーダは閉口。このシーンを最初に見たときは、「本当にだめな人だなぁ…」とがっかりしましたが、クライマックスへの伏線だったことも、とてもすばらしいな…と。
やがて、別れがきてネルーダは母国に帰ります。
ここでも、マリオはネルーダが自分との友情だったりを何か母国で話すのでは…それがニュースとして聞こえてくるのでは…手紙とかくるのでは…と期待を寄せつつ、きたのは「荷物をおくってくれ」という手紙。マリオはここでがっかりして、ネルーダとの友情について考えてしまいます。本当に、子供みたいに純粋で絵に描いたようなだめっぷりが本当に憎めなくて好きです。
ネルーダの家にいったマリオはネルーダの残したテープを聞くや否や、島の素敵な場所の音を集め、それを歌った詩を録音し始めます。
自分こそネルーダに感謝をしなくてはならないことに気づいた瞬間でしょうね。純粋だからこそ素敵です。
最後は労働者の集会で命を落とすわけですが、ここでマリオはひとつの詩を読むはずでした。
「詩は書いた人間のものではなく、必要としている人間のものだ」ということがここにつながっていたのでしょう。
ネルーダとの出会いによって、成長し、家庭を持つことができただけでなく、言葉を必要としている人のために詩を読むまでにいたったマリオがここで命を落とすというのが、なんとも悲しい終わりだなぁと何回見てもエンドロールでないてしまいます…
純粋な心と素敵な島の風景、詩的な映像、どれをとっても名作で、本当に最近こういう話ってでてこないよなぁ…と感じてしまいます。
まずは地中海に面した島の風光明媚なところに心奪われる。漁業メインの小島。水道すら引いてなく、月1回くる給水船が頼り。そんな静かな村だから若者も少ないのだろうか・・・
映画館のニュースで見たパブロ・ネルーダ。彼が女性に人気だということも気になるマリオは憧れてしまう。パブロも共産党員、郵便局長も共産党員、いつしかマリオも共産党を名乗っているほどだけど、政治色はほとんどない。
一軒だけの郵便配達。週に1回映画が観れる程度の給料じゃ大変だろうに・・・と思いつつも、毎日配達し、詩について学んだことはかけがいのない財産。隠喩という言葉がそのままコミカルに使われているところも面白い。
島で一番美しいのは・・・ベアトリーチェ・ルッソ!君の笑顔は蝶のように広がる。印象に残る台詞ば多いけど、映画全体に渡ってそのまま詩だったようにも感じてしまう。
マリオとベアトリーチェの結婚後、島を去ったパブロ。どの記事を読んでも島の人のことに触れてない。寂しい思いもあったけど、第二の故郷のように感じていたことは間違いないのだろう。
残された録音されたマリオの詩。そして、自然をそのまま音で表現しようと集めた苦労も伝わってくる・・・個人的な思い出もあるし、なぜかこのエピソードが一番好きだ。
エンドロールに亡きマッシモに捧ぐ・・・などと書かれると涙が止まらなくなる。病気に蝕まれながらも製作にこぎつけたという執念はすごい。
大昔に観てなんとなくよかった映画、を再確認するべく再鑑賞。
良かった。
美しいイタリアの島に、突如降り立った偉大なる詩人ドン・パブロ。
仕事もなくパッとしないマリオの人生を、詩人が大きく変えることとなる。
詩人がチリに帰国して数年、残念ながら2人の再会は叶わなかったけれども、詩人は島を、マリオを、忘れてはおらず、マリオもそうと信じてた。2人の間にあった絆の深さと、素朴で美しい島の風景がじんわり絡み、心に残ります。
普段、詩にはあまり触れることもなかったけれども、ドン・パブロのわかりやすいレクチャーのおかげで、ちょっと興味が湧いてきました。なんか読んでみよう。
私が名作の条件と思っているのは、貧乏と、共産主義と、恋愛ですが、ちゃんと少しづつではあるが、盛り込んでいます。(例えばですが、チャップリンの映画は、さらに「笑い」をプラスしていて、超名作ぞろい。)
それに加えて、この映画では、イタリア映画の名作を思い出させるシーンがふんだんに盛り込まれている。
でも、あんまりあれもこれもと盛り込みすぎて、全体的な印象が薄くなってしまった感じは否めないです。
うけねらいで、いろいろ盛り込みすぎて、わけがわからなくなってしまっている感じもする。
映画ファンうけをねらって、器用にまとめてある映画のような気がします。