日本でも話題を集めた韓国の小説「アーモンド」の著者ソン・ウォンピョンが監督・脚本を手がけたサスペンススリラー。半年前にひき逃げ事件で妻を亡くしたソジンは、ひとり娘イェナを連れて両親と実家で暮らしていた。そんな彼のもとに、25年前に行方不明になった妹ユジンが見つかったとの報せが届く。ユジンを名乗るその女はDNA鑑定でも血縁関係が証明され、両親は娘との再会に喜び、イェナも優しい彼女に懐くように。ソジンだけはどこか違和感を覚え、長年実家で働く家政婦ファンにユジンを探るよう頼むが、ファンはユジンと出かけた後に突然退職を願い出て行方不明となってしまう。そして、ユジンの知り合いだという夫婦が新しい住み込み家政婦としてやって来るが……。出演は「無双の鉄拳」のソン・ジヒョ、「悪人伝」のキム・ムヨル。ヒューマントラストシネマ渋谷&シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2021」上映作品。
食われる家族コメント(5)
行方不明であったユジンが家に来てから、始めは、娘のイェナが嫌いなパプリカを食べるようになり、また、しばらくしてソジンの両親はユジンのことをすっかり実の娘と信じ切るようになる。会った時から疑いの目を向けていたソジンであったけれど彼は妻を交通事故で無くし、精神的に疲れ、幻覚を見るようになっていた。
この映画『食われる家族』を見ていくうちにユジンが家族の心に侵食し、時間をかけてじわりじわりと乗っ取ろうとする恐ろしさが、実は薬の服薬のせいで心の闇を抱えているソジンが精神的におかしくなり、映画そのものが彼の幻覚のせいではないかと見ている側は思ってしまうほどサスペンス色濃厚な見ごたえがある映画になっていたけれども...
映画も70分を過ぎた頃より、話自体がおかしくなり、馬鹿馬鹿しいプロットとなっていく。
あきれ返るほど... 何ですか? この映画は
ただ、ソン・ジヒョさんとキム・ムヨルさんの演技はピカイチでした。
特にソン・ジヒョさんのラストのダークな赤紫色のリッブを塗った冷たい顔はトラウマです。
突然現れあれよあれよ実家に住み、両親や娘に取り入って馴染んで行く妹に主人公と5年前から住み込みで働く家政婦のみが違和感を抱いていて…。
展開的には明らかに異様な妹の行動と、それに端を発する変化をみせて行き、主人公が追い詰められていくストーリー。
調べればすぐわかることも調べず、証言だけで傾く韓国映画お得意の無能警察に、無防備に突っ込んで行くばかりで振り返らないポンコツ主人公だけど、どんどん孤立していく気色の悪さがとても良い。
話を聞かないお約束両親という流れも、しっかり補填され納得行くし、徐々にみえてくる目的と真実にはすっかり持って行かれた。
知り合ったの去年でその関係!?とか、エピローグへの繋がりがそんなに簡単なら最初から…とかは言いっこなしでw
サスペンス?スリラー?と思えば、ちょっとオカルトチック。先にもありましたが、ローズマリーの赤ちゃんを思い出しました。
追い込まれ、周囲に味方がいない状況は怖い。本人も自分の精神状態が良くないから、自身でも揺らぐよね。
ネタバレ抑えつつ…ラストが気になる。彼女は本当のことを言ったのか?兄の記憶に混乱は無いのか?遺伝子検査を操作するシーンが無かったし…知らぬが仏よね、捨てて正解かもね。
具体的に言うなら、パラサイトを基軸に、真犯人(←韓国映画)、さんかく窓、約束のネバーランドとかが混じってくるみたいな感じ。
前半はおどろおどろしく、主人公も精神を病んでいるから、観ている映像自体に懐疑的になり、真相が気になる展開なのだが、後半で落とし所がわかるとがっくり。そのパターンか、、と。
謎も残しつつ、こういう陰鬱で屈折しているジャンルの映画は日本映画にはほぼないので、そのジャンルの存在自体が大変ありがたいのではあるが、やっぱり展開が弱め。
なんか新鮮味がなかったとしかいいようがない。
まあ、上記のどれも観てないなら楽しめるかもしれません。