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エリザベス ゴールデン・エイジコメント(20)
そしてこの時期の歴史は宗教上の対立なくして語れない。イギリスにおいては、エリザベスの父であるヘンリー8世の離婚問題を機に、法王から独立してイギリス国教会を作ったのが最初であり、ルター派やカルビン派のような庶民に受け入れられる新派ではなく絶対王政を確立するためのキリスト教だった(エリザベス時代にカルビン派の儀式を取り入れたようです)。トマス・モアの処刑にまで発展した王の離婚。そして新しく迎え入れられた王妃こそエリザベスの母親アン・ブーリンだったのだ。この辺りは映画『わが命つきるとも』を観るとよくわかる。
とにかく国内にも国外にも敵が多いイングランド。しかし絶対王政を築きあげるためには「イギリスと結婚する」と宣言して、ヴァージン・クイーンを名乗らなければならなかった。求婚相手にも動ぜぬ態度をみせつつも、家臣の頭をポカンと殴ったりするところに、彼女の焦りさえ見えるところが面白い。格調高く、威厳を保つ姿。そして華やかな衣装や腹にまで響くような演説をするケイト・ブランシェットは魅力的に映るのですが、ヴァージン・クイーンは嘘だろ・・・などと、前作でジョセフ・ファインズが演じたロバード・ダドリーを思い出す。
全体的にエリザベス1世が美化されすぎてるような気もするけど、常に暗殺の危険に晒されてるところには感情移入してしまう。ウォルター・ローリー(クライヴ・オーウェン)に惹かれたのも、殺伐とした宮廷で彼ならば守ってくれるんじゃないかと本能的に感じ取っていたのだろうか。ネットで調べてみると、このローリーは探検家として有名な実在の人物ですが、スペイン無敵艦隊で活躍したわけじゃないし、海賊としてスペイン船から略奪を繰り返していたのもドレークという人物。ややこしくなりすぎるので、一緒にしてしまったかもしれません。
期待していた無敵艦隊との壮大な海戦スペクタクルはいつのまにか終わっていたました。実はエリザベスが魔女で、嵐を呼び寄せたのか?などと想像する暇もなく、エピローグでおしまい。もしかするとトマスによる暗殺シーンが最もスリリングだったのかも・・・
それとこの映画は関係ないと言われればそうかも知れません。でも、大変な役割を女が担う(担わざるを得ない)国の面白さをブランシェットは素晴らしく演じていたと思いました。男性社会で女王、あり得るんだ、変、おもしろい。とにかく、イギリスだけでなく、ヨーロッパのその他の国のことも知りたくなる映画でした。
ケイト・ブランシェットの圧倒的な存在感が見物だった前作より更に存在感が増した「エリザベス」の続編です。いやいや本作も面白かったです。
何はともあれケイト・ブランシェットですよね。女王としての凛々しさと女性としての弱さを見事に表現していたと思います。メアリー・スチュワートの処刑のシーンでの取り乱しっぷりや、ベスの妊娠を知った時の嫉妬っぷり等貫禄の合間に見せる女性らしさがお見事でした。
ケイト・ブランシェットはもちろんですが、メアリー・スチュワートを演じたサマンサ・モートンも良かったですね。暗殺計画がバレた時のシーン。もうどうしていいのか分からなくなってる感じが凄い伝わってきて印象的です。
クライブ・オーウェンは渋くってカッコいいですね。最近観てない気もしますがお元気なのでしょうか?前作に比べジェフリー・ラッシュがやたら老けてる!そうそう、今ではビッグ・ネームのエディ・レッドメインが出ててビックリしました!まだまだチョイ役な頃の作品ですね。
そして本作でも衣装といいセットといい、豪華絢爛です。戦闘シーンがあっさりしているのは前作と一緒なのですが、本作が重きを置いてるのはそんな所ではないですしね。あくまでも本作はヒューマン・ドラマ。エリザベスの苦悩と決断、そして人間らしさが十二分に伝わってくる大作でした。
しかし、1500年代後半の頃ってスペインが覇権を握ってたんですね。今となってはヨーロッパの中でも影が薄い印象ですが。まぁ、そういったらイングランドも最早大国のイメージがないので盛者必衰を感じます。現在はアメリカも勢いが衰え、日本も衰退している真っ最中ですしね。特に日本は超高齢化し過ぎててホントに未来がない。ヤバいです。そんな事を歴史上の大国の移り変わりを観ながら考えてしまいました。