Swallow スワロウ

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A TALENT for JOY
Every day, try to do something unexpected.
Push yourself to try new things.．．．　この本を送る無神経さに注目！
この映画には4種類の動物が出てくる。そしてもう一匹忘れるところだった仕事に忠実ではない一見親切そうな守秘義務を守れないネズミも．．．
人の痛みを分からない人。　自分の心の傷みを知らない人。
人間性を取り戻した人。
そして、人の痛みを知り尽くした唯一の人間。

この映画に触れる前に、主人公のハンターを演じたヘイリー・ベネットが気になって、彼女が以前出演していたデンゼル・ワシントン、クロエ・グレース・モレッツ主演のストレートにアクションを描いたアントワーン・フークア監督による『イコライザー(2014)』を見ることに．．．　6年前の映画ではモレッツ゚の陰に隠れた脇役と言える娼婦仲間のマンディを演じていた彼女だけれども、時間を経て、今は、役者としての位置やクオリティが逆転をしているようにも本作品からするとベネットは映っている。

Are you happy, or are you pretending to be happy?
ハンターを見ているだけで痛みが直接、脳の裏側まで感じさせるように彼女の一見して奇怪な行動にただ単にフォーカスしている映画作りが成されている。

強迫性障害(Obsessive–compulsive disorder , 頭文字：OCD）
映画『Swallow スワロウ』の奇妙であり、自滅的なシーケンスは、整ったボブ・ウィッグを身に着けている1950年代の女性を彷彿とさせるハンターが21世紀に生きているというミスマッチ観がまず、挙げられる。
そんな彼女の行動パターンは1日のほとんどを夫婦二人だけが住む大きな家の周り以外は外には出ず、夫のために夕食を作り、ハイヒールとカクテルドレスでドアまで彼を迎える．．．　家にいる典型的なディスプレイやトロフィーケースの中に飾られているハウスワイフになってしまっている事。
このアイデアは本質的に漫画チックにも見えるている．．．　そのことで映画『スワロウ』が完全にばかげているようでもストレートなリアリズムで描かれていることに不思議さや奇っ怪さがより増していく。

ミラベラ＝デイビス監督は誠実な芸術的ビジョンを持っているのか？
彼の最初の長編映画である『スワロウ』．．．　少なくとも彼はハンターによるジャッキー・ケネディやナンシー・レーガン風の面持ちや視線などがレトロな世界観を恣意的に雰囲気化をし、その反対に彼女がスマホゲームに夢中になるところで明らかに現代的女性像も垣間見ることができる。
建物や家具類のデザインは回顧的な側面もあり、大きなカキツバタの屏風絵や洗練された1960年代のモダニズムに通じる家具と一面ガラス張りのリビングからは、知らず知らずに目に入る緑豊かな川辺とそこに建つ超が付くほどのハイテクで洗練された機能重視の豪邸に、玄関から眺める木々にはあたかも計算し尽くされ考え抜かれた構図で出来ている前庭が、美的静止画にも見えてしまう。しかし、定型化された外観は、単純な特徴付けで終わってしまっている。
ハンターのドレッサーに並んでいる化粧道具や小物類は実際よりもわずかに大きく見えるように撮影されている。この言い知れない撮影の卓越したリアリズム観がこの映画『Swallow スワロウ』の独特な持ち味にもなっている。

終始視覚的にチグハグでアンバランス観に人間のエゴがプラスされると．．．
義理の親がわざと優しく言葉を交わすのに何故か何処かに彼女を虐げているように見えるし、夫も愛していると言っておきながら彼女の考えや意思なんて無視をしている。整理され、整頓され、一見素晴らしく見える豪邸の内観が実は統一されていない不安定なところと決してステレオタイプのビランとして周りの人間がハンターに接してはいないのに人間の裏と表が客観的に見て取れることで映画全体の安定性やバランスを欠き、見ている者に彼女の強迫性障害を具体的に理解できるものにしている。
始めから終わりまでハンターを演じるベネットのあくまでも平凡な演技が、この映画には必須条件となり、耳触りは良いのに何故か物哀しく聞こえてしまう曲調のフィルムスコアが抑揚のない平坦な盛り上がりに欠ける映画全体をサポートしている　　．．．　だから見飽きることはないと言える。

映画も終盤を迎えて．．．
ハンターが実の母親に公衆電話から電話をかけるシーケンス．．．　彼女の母親がハンターの事を親しみを込めて "doll" と呼んでいたのに．．．　最後にはハンターは電話を汚れた物のように自分から叩きつけるように切ってしまう．．．　絶望的な親子関係をたった数十秒のシーケンスだけで見事に表現していた。

So... are you gonna ruin my life or what?
最後にバイオロジカル・ファーザーとハンターが対峙する場面で
I was delusional. I mean, there's no way to explain that. It
made me feel special. A secret makes you strong you know?
Everybody thought I was this regular guy, you know but I was
important inside. I was fu*king powerful. I was God. And,
um... and then I went to jail and I got sh*t-bagged in jail. Yeah,
they beat me so bad I had to wear a colostomy bag and then I
realized who I was. I was not God. I was sh*t.
-Are you ashamed of me?
No. 　　But what I did...　I'm ashamed of that.
-Am I like you?
I don't know. Are you?
-No.　　But I just need to hear you say it.
You're not me. You didn't do anything. You didn't do anything
wrong. It's not your fault.
彼女の血のつながった父親であるウィリアム・アーウィンを演じたデニス・オヘアの演技は演技を超えている．．．　ただそれだけは付け加えたい。

映画のラスト．．．　ショッピングモールのフードコートでチップスを食べるハンターの姿が、そこには若い女性の髪形に飾り気のないスウェットシャツの出で立ち．．．　このハンターの様子を見て、ハッピーエンドなのかは、見ている側にゆだねられている。
この監督は、悲劇を悲劇として．．．
映画にはしていない。

Eating objects "made me feel in control,"
Pica (disorder)という異色症にどうしても注目が集まるのは仕方がない事として、
"Pica movie" と呼ばれているこの映画『Swallow スワロウ』．．．　その事は否めないのは確かであってもインキュベーターの中で生きている赤ん坊のような女性が、実父との初めての対面で自分がどのような人間であるかを改めて悟り、確かめ、そのことから女性としてのエンパワーメントの自力活性化の姿をあくまでも脚色を最小限に押さえた演出とヘイリー・ベネットという女優さんのいかにも演技べたに見えてしまう飾り気がこれっぽちもないのにもかかわらず、彼女の最高の演技を見ることができる機会をこの映画『Swallow スワロウ』は与えてくれている。

エンドロール・クレジット直前に映画の締めくくりとして
♪I've been watching　　I've been wandering
We've been saving up　We've been growing up

And how many friends have we lost along the way?
They are still in this world 　But not living the same　　　　～　♫
アラナ・ヨークの "Anthem" というフィルムスコアと共にショッピングモールにある女性用バスルームに固定カメラを据えて女性たちが入れ替わり訪れる様子だけをエンドロール・クレジット前に捉えている．．．　こんなに多くの名も知れないエキストラの女性がいるのかと．．．

この映画は哀しい映画だったんです。
最後の最後でアラナ・ヨーク、彼らの歌声の質感が映画のイメージを一変させている．．．　良い意味で

2021年元日映画の日で観てきた。きっとヘイリーベネットがたくさん映ってる映画だと思ったらそうだった。但し「あらぬものを何でも飲み込んでしまう妊婦」という恐るべき役どころ。にも関わらず衣装も美術もロケーションも大変おしゃれなのでエレガントなサイコパス風。
というところが前半で、後半は治療と共に金持ちに嫁いできた庶民の出の妊婦がなぜ、というところに話が進む。自傷行為の中でもこれはなかなかのアイデアだな。とりわけ「金持ちに嫁いだ一般人」としてのヘイリーベネットの着せ替えぶりが素晴らしい。『ローズマリーの赤ちゃん』のミアファローを思い出すくらい一回一回がフォトジェニック。パンフは出して欲しかった。

結果、前半エレガントサイコ、後半は自傷行為克服のための「私探し」。更に囚われからの旅立ちというというテーマにまでいく。ただの変態映画ではない、女性の自立に転調させてるあたりが20年代の映画だと思った。

予告編を観て物凄く気になっていた作品でした。どうやら“異食症”と呼ばれる、どんなものでも呑み込んでしまう女性というインパクトと「どうしてそんなことするの？」という興味で観に行きました。いや〜不謹慎ながらとんでもなく面白い作品でした。

自分はストレスが溜まったらどうやって解消してるだろうかと考えると、それこそ一人で映画を観に行ったり、カラオケに行ったり、美味しいものを食べたりしてるかなあ。主人公のハンターにはそれが見つけられてなかった。

まず、自分自身に対する肯定感というか、アイデンティティーを示すことができないこと。劇中で明かされる出生までの過程、金持ちの旦那さんを見つけたは良いものの家事を完璧にこなせるわけではないということ、ハンターの結婚していてもどこか孤独な様子が容赦なく描写されていきます。

そして、度重なるモラハラ。結婚することに希望が抱けなくなってしまいますよこんなの見ると。姑のお節介はデフォルメされてないリアリティーを保っているし、夫は「愛している」とは言ってくれるし、愛情表現も頻繁にしてるけど、仕事優先だったり、家族のお節介を止められなかったり、ちょっとのミスで「ファック！」となったり。これも本当に演出が上手くて、ハンターが異食症になってからも、理解しようとはしているし、彼なりに彼女のためを思って行動してるのは伝わってくるのが辛い。「ファック！」と言った後にちゃんと後悔しているのが辛い。つまりお見事。

そして、彼女は花を育ててみたり、カーテンの色を変えてみたりもしたし、夫の同僚のようにハグで寂しさが解消されるかを試してみたりもしたけど、結局氷を飲み込んだ時の気持ち良さをきっかけに、どんどん固形物を呑み込んでしまうんですよね。非常に痛々しいシーンもありました。

この物語をどう片付けるのか途中から不安にもなってきたりもしたのですが、実に見事に着地させたと思いました。ネタバレは避けつつ記録に残しますが、ハンターにとって因縁の相手に会いに行くシーン。「私はあなたとは違う？あなたに答えてほしいの。」つまり、自らのアイデンティティーを取り戻し、さらにとある決断をする、でもその後はあえて描かず想像に任せるという流れでした。ラストカットのハンターは、髪型も表情も全く違っているように見えます。彼女の今後、夫の今後はどうなったんだろうと余韻に浸れる作品でした。

あと、変なところでアップになる演出が面白くて。自分が気付いた変なところのアップは、ドレッシングとか掃除機のコードとか調理に使われた動物の残った眼とか。つまり、何かの付属品のものが多くて。夫にとってのハンターの存在や、ハンターが自分自身を主役と思えないことを暗示しているのかなと思いました。

固形物はもちろんストレスものみこんじゃいけないなと思わされる作品でした。傑作だと思います。