パピチャ　未来へのランウェイ

この不思議な語感のタイトルは何を意味するのだろうか。そんな微かな疑問を胸にしながら、本作を観た。見始める前の私の印象としては、躍動感に満ちたガールズムービーといったところだったかもしれない。確かに、大学の女子寮を飛び出してナイトクラブへ向かう冒頭の描写には、何かが始まりそうなワクワクがほとばしる。だが、次の瞬間訪れるのは、検問での手厳しいやりとり。90年代のアルジェリアが置かれていた現実を突きつけられる場面だ。イスラム原理主義者による締め付けも至るところに。この物語には、かくも一人の少女がもたらす目覚ましい躍動感と、それを叩き潰そうとする圧力とが痛いほどスパークしている。「ファッションデザイナーになりたい！」という一途な思いが、単なる勇気や情熱を超えて、命がけの行動と化していく様に胸が張り裂けそうな思いがした。アルジェリア出身の監督と主演女優との共振関係が実を結んだ、力強い一作と言えよう。

ネタバレ！ クリックして本文を読む
映画および視聴覚制作のトレーニングを専門とする独立組織CEFPFを卒業後、世界の映画学校ランキング2014年第3位... La Fémis （ラ・フェミス）でドキュメンタリー映画も一時期学んだムニア・メドゥール監督が過去に数本のドキュメンタリー映画の撮影を経て、初めてドラマ映画「パピチャ　未来へのランウェイ」を製作することに...

映画の始まり... 夜も更けて大学寮を抜け出し、友人と二人してタクシーの中ではしゃぎながらドレスに着替えるって、彼女たちの目的地はクラブ。まるでトイレで同じことをするJKじゃんと思っていると、急に彼女たちはベールをかぶりおとなしくなっている。ただ... 日本と大きな違いは... 　町のいたるところに検問所があり、市民は監視されているアルジェリアの市民生活の一片に触れる。

ここで描かれているアルジェリアという国は、個人的には別世界であって、しかも宇宙のどこかのシナビタ遠い星のように写り、それを象徴しているのが、結婚間近の姉とそして料理自慢の母親と楽しい時間を過ごし、自宅を出たところをジルバブを身に着けた若い女性が”Is Linda home?”と聞かれた後に唐突に悲劇が起こる。
また、日本では以前、学内が荒れた時代もあったのは事実として、現在は、学生運動の規模も形も現代風になり警察の介入すら拒む大学のキャンパスという平和なイメージが一部を除いて定着している。しかし、この星では、黒いヒジャブに身を包んだ女性たちが「女に学問はいらない！」と叫びながら大学の先生の首を絞め、授業をいきなりボイコットしに来るって？
ノースリーブの上着にジーンズ姿って暑けりゃそんな服装にもなるのは日本では、当然な事で自然で気にしないこと。でも、この星では違う... 甘いケーキに誘われる蠅のように老いも若きも、チビもハゲも、その彼女の姿が半裸に見えるのかもしれないが追い払っても彼女にひつこくまとわりつく、まとわりつく... ヒマジン過ぎるアルジェリアの男たち。そうでない男や女は、人の話しなんて完無視でヒジャブを着ることを堂々と人前で強要したりもする。
ヒマジンは何処にでもいる... 　日本でも○○警察なんて身勝手なこころの狭い偽善主義の輩たちが何を思ってか、人に強要するのは万国共通ってこと？　フロイトさんの言う "Super-Ego" は存在せず、持ち合わせていないってこと？

Did you read the bromide article? Did you?
"Potassium bromide is a sedative for treating epilepsy. It reduce
sexual arousal... Prolonged exposure may lead to poisoning！"
Is that normal?!
If that's the case, we're all poisoned. What do you think I eat?
自宅にはプールがあり、リッチでたっぱがあり、その上ハンサムさんの彼から結婚してフランスに住もうとプロポーズされているのに”友達も母もいるし、この土地を離れない！”ってエ～ッと思っているとこの映画の最後のテロップで”In memory of my father” という言葉より2000年に亡くなった監督であった父親の存在。個人的にはこの映画自体が若い女性を主人公にしているけど本当は、ソビエトにも映画の知識を広めるために渡り、その後、アルジェリアの映画界で尽力し、アルジェリアの地で亡くなった彼女の父親に対してのオマージュであり、生前の父の姿を希望に胸を躍らせているネジュマに投影しているように受け止めてもいいのかもしれない。

映画が始まって間もない時”Summer late 90s” とテロッブで示されているのでフランス語の”La décennie noire(暗黒の10年)” という大雑把な期間ではなくて、直1997年の大量虐殺が行われた悲劇の年を限定で描いている。このサイトも含め、日本のほとんどの映画サイトが、牛のヨダレのように配給元の受け売りでいい加減な情報をいい加減な形にしか紹介しないのが分かってしまう。　嫌な言い方を使いました。　失礼

イスラム圏の女性を扱った2016年の映画「In Between（Bar Bahar 2016)」：この映画は3人のパレスチナ女性の宗教と伝統を取り上げたドラマで、どちらかというと「In Between」の方が、理解できる部分もあり見やすくなっている。この映画「パピチャ・・・」に関しては、 "実際の出来事に触発された"とか"事実に基づく"なんて言われると反って見る食指を阻害され、また避けて通りたい個人としては最も嫌な映画となってしまっている。それとこの映画のラストの仕上げ方のミスマッチさが、目立っていて"実際の出来事に触発された"と言っておきながら、いくら何でも描き方が恣意的で操作的に感じるほど現実的ではない描かれ方をしている。

“Papicha” is Algerian slang for a hip, pretty girl.
"ヒジャブを着ろ！"、"宗教心を持て"、"女にフランス語なんか覚える必要はない"と色々と全編女性蔑視の言葉の槍が飛んでくるんだけど、
It's not provocation. It's indifference. It's not the same.
"Indifference kills them."という言葉さえ虚しく聞こえる。なんかうまく作ってあるようで、大量虐殺が行われている状況下で裕福でしかも大学もいける女子を描き、それを考えればわかる事で、それだけでなく、何よりも内容のチグハグさが目立ってしまっている。　言えるなら、西側先進国のプロパガンダという、あざとさが散見する。
フランスの統治時代があり、フランスで映画を学んだ監督。”推して知るべし”という言葉が、頭の隅でささやいている。　一般の多くの方たちは絶賛しているけれど...

デザイナーを目指すネジュマ
夢･自由を求め大学で学び夜遊びもするが
行動は監視･制限
死にたくなければヒジャブをつけろと
着用を強要もされるが
自由を求め
ハイクを使ったファッションショーを行い
抵抗する
.
.
試写会後のAfter talkに監督登壇
.
1990年代のアルジェ
15万人ものの人々が亡くなったとされる
アルジェリア内戦(暗黒の10年)
1990年代に青春時代を過ごした若者たち
ムニア･メドゥール監督もその一人。
アルジェリアを離れたことにより
客観的に見られるようになったという。
自身の記憶を辿り
イスラム原理主義による女性弾圧
国内テロとの闘いを内側から
女性の姿･その立場から描いた
実話から生まれた物語。

当時の若者の心にはトラウマが残るという
この映画はアルジェリアでは上映中止に。
女性たちの心の叫びに耳を傾ける
声をあげるきっかけにと
監督は語っていました