ザ・クーリエ

ネタバレ！ クリックして本文を読む
（groaning）
I wonder what happened to you... to make you this angry.
Give up the witness.
You have 30 seconds. うめき声
Twenty. Thirteen. 　　カウントごとに被写体へのアングルが変わる。
Seven seconds....... 　Fu*k it. Do it.
モノクロで絶体絶命と直ぐわかるシーンが飛び出してくる。彼女の顔は酷く殴られ、後ろに縛られた手にはべっとりと血のり、モノクロであるが故に色が映えている。手足を縛られていて身動きのできないクーリエへに急発進したベンツが勢いよく向かってくる、そして...
クレジットが画面に流れる。サディー・ピカリングのアンニュイな歌声にのって
... ♪Nowhere to run I'm on the inside....

You know what the famous politician Joe Biden once said about
hunting? If you need more than ten rounds, and some argue that
they hunt with that many rounds, you shouldn't be hunting.
Because if you can't get the kill in three shots... you shouldn't be
hunting at all！And you are therefore... a fu*king embarrassment！
クレジットも終わり、プロットは教会のシーンに... そこでゲイリー・オールドマンの立ち姿を見て思わず絶句し椅子から転げ落ちそうになる...

シンキング・タ～イム... ここで質問？　今からヒントを3つ出します。
左目に黒のアイパッチ、黒の革のコート、マーベル・コミックスの人、だ～れだ？　時間が無いので即回答 ➡ サミュエル・L・ジャクソンさん演じるニック・フューリーさんでした。そのイメージをそのままゲイリー・オールドマンにかぶせて想像してみてください。映画を見なくてもマニングスの格好が分かり、その時点でこの映画をチョイスしたことを後悔する羽目となり、茶化したくもなる。ただし、オリジナルのニック・ヒューリーは白髪交じりの白人さんですよ、何か？

Hell, he's been shot anyway.
A 51-caliber round erupting out of chamber of an M82 sniper rifle at
900 meters per second. I imagine it tore a hole through him the size
of a goddamn fist.
ここがおかしいよ？　クーリエさん
①車の燃料タンクを壊しガソリンを床に流す。灯油や軽油よりも揮発性の高いガソ
リン。何故、悪党どもは臭わないのか？風の吹かない空間で... (危険物4種模範
解答より)
②たくさんの駐車されている車を誰一人、拾いに来ないのは？
③リボルバーの発射音がしない。でも、次のシーンでは、はっきりと
④マシンガンに生体反応付き装置って、こう世の中が進んでは考えたくもなるけど
ありそうでありませんから... 悪しからず
⑤スナイパーが使ったライフルはバレットではないというのは、さておき、クーリエ
さん着弾したら足は粉々ですよ。あなたは何故格闘が出来るのですか？
”the size of a goddamn fist.” 台詞にありますよ。台詞に
➡ 独りよがりの嫌味な嫌われ者より

Would probably skip this movie takes place 90% in a parking garage
and has some decent plot holes.
amazon.comに視聴者からの率直で端的に表されているクレームの数々... 駐車場というソリッドシチュエーションが持つ閉塞感であったり、いくら激しいアクション映画として位置付けされていてもその拘束感は否めない。しかも論理的な整合性や物語としてギャップなどのシナリオの問題も指摘している。それに加え、ゲイリー・オールドマンに騙されたとまで言っている声が少なくはない。「死霊船　メアリー号の呪い」の何とも言えないホラーを見れば彼はあまり作品を選ばずに役を演じているのではないかと思えてしまう。イギリス紳士だからなのか？

以前鑑賞した映画「ルーム」(公開日未定・2020年とだけ)では、何処か気品を感じさせるヒロインを演じていたオルガ・キュリレンコという女優さん。もちろん180度違う元特殊部隊員の精鋭クーリエという役柄は自ずとその激しいアクションを伴う危険な映画。彼女の素晴らしいのは、歴代のジョン・ウィックやリュック・ベッソンの女性アサシンと対比するとレベルが全然違って、スタントダブルの存在を一切感じさせないものに仕上がっている。そのところにこの映画監督を始め、擬闘監督がこの映画に対して思い入れが強く、しかも熱いものを否が応でも感じてしまう。

犯罪組織の超大物の犯罪を目撃した証人の殺害計画に巻き込まれた｢配達人｣の話。

元特殊部隊の脱走兵にして裏社会の配達人が、証人殺害の犯人に仕立て上げられそうになり、証人を助けるストーリー。

何も出来ない証人を守りつつ、警察の内通者率いる殺し屋軍団とあの手この手で闘う主人公。

舞台は立体駐車場の中のみだけど、バイクに車にドローンに銃に格闘に、と見所満載。
やっぱりみせるぜキュリレンコ!
結構シリアスな流れなのに、唐突に笑いを突っ込まれた時は、一瞬何が起きたか判らなかったけどねw

最後もコッテコテで判りやすいものの、万一気付かなかったら｢何で？｣となる流れから、急に爽やかになっちゃって、｢えっ!?｣とはなったけど、判りやすくて面白かった。

オルガ・キュリレンコはジェレミー・アイアンズと共演した「ある天文学者の恋文」での演技が最も輝いていたと思う。その後、脇役で出演した「スターリンの葬送狂騒曲」や「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」では、ロングドレスを纏った美しい女性としてスクリーンを飾り、演技としては十分によかったものの、いまひとつ女優としてのポテンシャルが存分に発揮されるまでには至っていないという消化不良の感があったが、本作品はどうだろうか。

悪の組織と政治の癒着は昔から続いているというのが一般の認識だと思う。特に警察は悪の組織との距離が近い。役所広司主演の「孤狼の血」では、警察官は暴力団組員と顔馴染みだし、情報をやり取りし、ときには金もやり取りする。印象的な台詞は「警察じゃけぇ、何をしてもええんじゃ」である。

日本の警察官の職務倫理規定は次の通りである。
一　誇りと使命感を持って、国家と国民に奉仕すること。
二　人権を尊重し、公正かつ親切に職務を執行すること。
三　規律を厳正に保持し、相互の連帯を強めること。
四　人格を磨き、能力を高め、自己の充実に努めること。
五　清廉にして、堅実な生活態度を保持すること。

この五箇条をきちんと守っている警察官がいたら頭が下がるが、警察官も人間だからなかなかそうはいかない。それに警察の上部組織は官僚なので、組織防衛が何よりも優先される。検挙率が低いという批判は組織を傷つけるものであるから、兎に角事件が発生したら犯人を検挙する。犯人として条件が揃っていれば誰でもいい。本当に犯人かどうかなんてどうでもいいのだ。検挙率を上げるためだけに冤罪で刑に服した人は数多くいるだろう。女子高生が小銭欲しさにでっちあげる痴漢冤罪も、検挙すれば検挙率が上がるから警察は喜んで女子高生に協力する。女子高生に肩入れして有罪にする裁判所も同じ穴の狢だ。

悪党と戦うオルガ・キュリレンコを見ながら、ついつい警察と司法の腐敗をどうやったら防止できるのかを考えてしまった。ストーリーはほとんどなくて、アクションを楽しむ映画だから別のことを考えながらでも鑑賞できる。あまり高評価できる作品ではないが、最後の最後にちょっとしたサプライズがあるのがいい。少なくともオルガ・キュリレンコのアクションは十分に堪能できた。暇なら見ても損はないと思う。