霧の中の風景 プロット

ドイツにいると聞かされた見知らぬ父を求めて、12才の少女と5才の弟が夜行列車に飛び乗った。オートバイの青年への報われない初恋、死んだ馬が引きずられていった雪の夜、疲れきった旅芸人たちが休む海辺、港から吊り上げられる巨大な手、そしてフィルムの切れ端の中に浮かぶ1本の樹……痛切に美しい詩のような風景の中を進むふたりが旅の果てに見るものは……。アンゲロプロス監督が娘たちのための寓話として作った人気作、ヴェネチア映画祭銀獅子賞最優秀監督賞受賞。

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霧の中の風景コメント(2)

rzxxiz
rzxxiz
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アンゲロプロスが、ギリシャ史も難民問題も前面に押し出さず(もちろん根底には流れているけれど・・・)、子供を主人公としたロードムービーを撮るなんて・・・!少し意外にも思ったが、長まわしの曇天の画面、特有のモチーフによるメタファー。それらから滲み出る“哀しみ”は、紛れもないアンゲロプロス・ワールドだ(黄色い合羽を着た男たちは何の暗喩だろう?)。
12歳の姉と5歳の弟が、アテネからドイツへ、顔を見たこともない父を訪ねる。家出同然でお金もパスポートも持たない2人の旅は厳しく辛い。それでも姉弟は幻の父を求め“霧の中”を前へ前へ進もうとする。何故彼女たちはこんな過酷な旅を続けるのか?そこには姉が語る弟との絆がある。無賃乗車のため連行された警察署から脱走した後、体調を崩した姉は諦めて家へ帰ろうとするが、弟に「裏切り者」と言われ「とても恥ずかしかった」と語る。姉にとって一番辛いのは、身も心もボロボロになりながら旅を続けるよりも、弟の信頼を失うことだ。実は私生児である2人の父は最初からドイツにもどこにもいないのだが、それを知っても姉は幼い弟を連れて旅を続ける。だが続けることによって様々な“大人の世界”が2人を苦しめる、とりわけ大人になりかけている姉にとっては残酷すぎる現実が押し寄せるのに、そうまでしても幻の父を訪ねる理由は何だろうか?
本作に登場する大人たちは、子供に「理解のある大人」と「理解のない大人」に分けられる。子供たちにとっては、旅を続けることを邪魔する駅員や警察は「理解のない大人」であり「敵」である。旅の途中で知り合い、自分たちを警察の手から逃がしてくれた旅芸人の青年は「理解ある大人」で「味方」である。だが本当にそうだろうか?子供たちに優しくしてくれた青年は本当に味方なのだろうか?青年は子供たちにどんな事情があって何故追われているのか理由を聞かない。地に足の付いていない若者である青年と子供たちの間に自然と仲間意識が芽生えたのだろう。だがそれがどんなに危険なことか青年は気付いていない。自分の味方になってくれたハンサムな青年に12歳の姉が恋心を抱くのは無理からぬこと、それに気づいていながら彼女の目の前で彼女を裏切る行動をとってしまう彼の未熟さ(彼はゲイだったのだ)が、幼い2人をさらに追い詰めるとは(盲人が盲人の手を引くがごとく)何とも皮肉だ。結局、2人を助けるどころか傷つけてしまうことになる。本当の意味での味方となるなら、きちんと事情を聞き、無謀な旅を辞めさせ(力づくではなく)、最善の策を考えてやることだろう。
もちろん2人を追いつめるのはこの青年ばかりではない。2人をやっかい者として扱う伯父や、ヒッチハイクで乗せてもらったトラック運転手は、まだ12歳の姉をレイプする。だがこれらの辛い経験を経て子供たちは成長して行く。姉は自分の「体」がお金になることを学び、切符代金を得るために若い兵隊に声を掛ける。このシーンの痛々しさったら!声を掛けられた男が逡巡する間の緊張感は半端じゃない。幸いなことに、最終的に怖気づいた男が金だけ渡して去るのだが、男を誘う時のセリフが「買ってください」ではなく「お金をください」であることに、たった12歳でも「女」は「女」なのだと痛感させられた。
そしてまた、5歳の弟も確実に成長を見せる。パンを得るためには労働をしなくてはならないこと、理由は解らないが姉が辛い目にあっているらしいことを察しても、敢えて何も言わないことなど、知らず知らずのうちに姉を支える存在になって行く。それが証拠に彼はどんどんと「男」の顔つきになって行ったから。余談だが、食べ物をねだりに来た子供に、タダではやれないから仕事をしろと言って、その子に見合う仕事(テーブルの上の瓶を片づける)を与えた食堂の主人が本作で一番子供に理解のある大人なのかもしれない。
さて、そもそも何故子供たちがドイツへ父を捜しに行こうなどと思ったのか。ここからは私の想像になるが、おそらく女手ひとつで2人の子供を養うために、母はほとんど子供たちの面倒をみれていないのだろう。子供たちにとって母は、夜遅く帰って来て子供たちの寝顔を見るだけの存在だ。姉は母親代わりに弟の面倒をみなければならなかったのだろう。そうして親の愛情に飢えた2人は優しい父親の幻影を作り上げたのだろう。母親が初めから「父親はドイツにいる」などという子供だましの嘘をつかなければ、こんなことにはならなかったのではないだろうか?せめて死んだことにしてはおけなかったのだろうか?おそらく母も、かつて愛した男の幻影を亡き者にできなかったのかもしれない。しかし大人の嘘は子供には分かるものだ。もしかしたら2人も最初から父親が本当にドイツにいるとは思っていなかったのかもしれない。2人の中で何かの「決着」を付けるために、この旅は必要だったのだろう。
それは霧の中にいる見えない父を捨てるため、霧の向うにある風景(真実)を見つけるため。
ドイツ国境で鳴り響く銃声。2人がラストシーンで見た風景が、天国ではなく本物のドイツであることを心から願ってやまない・・・。
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クレーンで吊るされた手の彫刻が海を渡っていくのが印象的で。

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