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君がいる、いた、そんな時。 プロット 日本 06月13日 2020 劇場で
君だけが知らない プロット 韓国 10月28日 2022 劇場で
君がいた夏 プロット アメリカ 05月20日 1989 劇場で
遠い明日 プロット 日本 11月03日 1979 劇場で
僕がいない場所 プロット ポーランド 10月13日 2007 劇場で
お墓がない! プロット 日本 02月07日 1998 劇場で
明日、君がいないコメント(15)
総合:85点
ストーリー: 85
キャスト: 75
演出: 90
ビジュアル: 70
音楽: 70
それぞれの登場人物の抱える問題と心の動き。ちょっと均衡がずれただけで何かが崩れそうな、どことなく緊張感のある空気。途中途中にインタビューをはさみ、ドキュメンタリー調に進行していく物語。それぞれの時系列を別個に撮影し、それを後で統合する。
最初はちょっと性描写の多い、今時の少しだらしない若者の苦悩する青春物かと思って見ていた。だが思っていたよりもずっと複雑で深刻な苦悩が描かれていた。若さは時に残酷で、その残酷な世界に生きる六人の高校生の、生々しいまでの演出に圧倒された。手首にはさみを突き刺した瞬間に血が噴出す部分も、恐れることなく鮮明すぎるほどに真っ向から撮影し、いかに鋭い心の痛みを抱えての行動かを訴えてきた。美しい音楽もまた時に悲しく残酷だった。
この作品は、監督が友人を自殺で失ったという実体験から作られた映画だということだ。彼女は自殺するように見えなかった。だが表面上は何もないように思えても、現実には人それぞれが打ち明けられない深刻な悩みを抱えていることがある。自殺しなかった登場人物ですら、自殺してもおかしくないような悩みを抱えていたものがいた。映画の中の最後のインタビューでも言われたように、みんな自分のことで精一杯だった。他人のことなど思いやる余裕なんてなかった。自分以上に不幸なやつなんていなかった。まったく予測出来ていなかったからこそ、その衝撃は逆に大きかったのだろう。
大切な友人なのに、何も気がついてあげられなかった、何もしてあげられなかった。その人に何が起きていたのか、真実はわからない。だけど監督のそのような茫然自失としたその時の過去の実経験の喪失感が、なんとなく映画を通して伝わってきたように感じた。トラウマを背負ったまま、その傷が癒える間もない19歳の若い監督だからこそ、これほどにまで触るのも痛々しいほどの残酷な作品が作れたのではないか。そんな気がした。
この映画を観ると良くわかる。
1人でも本当の絆を結べる相手がいたなら。
彼女は積極的に、自ら手を差し伸べていたのに…。
監督も制作時、この映画の主人公達と同年代の若者だった筈。
大人に成りきれない、ぎりぎりの不安定な感じが、画面全体に漂ってる。
リアルさが凄い。
少しトラウマになりそうなラストだった。
誰が自殺するのかと思って観ていたら、全く眼中になかった彼女でした。
てっきり、ちょっとした脇役かと思っていたので拍子抜けでした。
私も彼女に注目しなかったように、他の誰も彼女に注目していませんでした。
相談できる相手や誰からも求められていなかったのがとても辛いことなのだなと感じられる作品でした。
友人を自殺で失い、その半年後に自らも自殺しかけたという実体験を元に、2年の歳月をかけて作り上げたといいます。
「自殺」というモチーフに関心があって観てきました。
6人の高校生のエピソードを、時間と視点を巧みに交錯させながら描いていきます。
インタビューを交えながらの語り口といい、伏線をふんだんに散りばめた構成といい、ダイナミックで流麗なカメラワークといい、とても映画制作が未経験だとは信じられない驚くべき技巧の作品です。
若いエネルギーで作ったというより、卓抜したテクニックで表現されています。
登場人物のうち自殺したのは誰なのかというサスペンスをからめ、舞台はほとんど学校のみという空間で少年たちの内面に迫ります。
同性愛や身体障害という苦悩を抱えた少年、成績優秀で小説や音楽の才能もある少年、女生徒にもてるスポーツマンなど、様々な個性を持った人物たちが互いに係わり合いながら話は展開していきます。
初めから自殺の動機をうかがわせる少年もいますが、何の悩みもないと思われた少年たちも、実は誰にも言えない秘密や葛藤、とんでもない問題などを抱え込んでいることが、次第にあぶり出されてくるのです。
決してあざとくない自然な演出も秀逸でした。
(ただラストシーンだけが、リアリズムに欠ける感があったのが残念です。)
みずみずしくも生々しい青春の苦しみを、鮮烈に見せつけてくれた一作でした。