手塚治虫をはじめとした日本を代表する漫画家たちが若き日々を過ごし、東京都豊島区に実在した伝説的アパート「トキワ荘」の日常を、昭和30年代の懐かしい空気感をそのままに描いた青春ドラマ。豊島区の木造アパート・トキワ荘に住む「漫画の神様」手塚治虫のもとには、編集者たちが日夜通い詰めていた。向かいの部屋で暮らす漫画家の寺田ヒロオは、その様子を眺めつつ出版社への持ち込みを続けていた。やがてトキワ荘を去った手塚と入れ替わるように、「藤子不二雄」の藤本弘と安孫子素雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫ら、若き漫画家の卵たちが次々と入居してくる。寺田を中心に「新漫画党」を結成した彼らは、貧しい生活の中でも互いを励まし合い、漫画の未来について熱く語り合う日々を送るが……。「東京兄妹」の市川準監督が、実話に基づきフィクションとして描き、1996年に製作・公開された。住人たちの兄貴分的存在だった寺田ヒロオを本木雅弘、彼を囲む若き漫画家を阿部サダヲ、古田新太、生瀬勝久らが演じた。2020年5月、デジタルリマスター版でリバイバル上映。
トキワ荘の青春コメント(3)
主人公を奇麗ごとだけではない視点、漫画家仲間から尊敬される人間性と違う一寸人間臭い側面も取り入れたならば深みが出たと思う。映画表現からも、食事シーン、編集者との関係、漫画創作カットと丁寧に描いて欲しかった。
いや、この作品はスルメ映画だなぁ。歳を重ねた分だけ、主人公の寺田と自身を照らし合わせて、ジリジリした思いで観ている人多いんじゃないかな。
後輩の後塵を拝するということ、ましてや、読者の目という市場の評価で、絶えず自身の才と向き合わねばならぬということ。
藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫…。
こんな人達と比較されたらたまらんなぁと思う。
凡人であることも才能かもな、と。
特に会話の声は小声で明瞭には発声されない
少ない光量の撮影
映画的なメリハリは一切といっていいほど排除されています
自然であるということ
そこは斬新であるとは思います
当時を再現する細部へのこだわりの集積がそうなさせているのだと思います
誰にしもある若い日々の自己の才能を信じてがむしゃらに働く時代
そして夢が敗れる日も大抵の人に訪れます
そこに共感を感じますが、大昔の巨匠達への思い入れが猛烈になければ、2時間は長い退屈な時間に思えたのも確かです