行き止まりの世界に生まれて プロット

閉塞感に満ちた小さな町で必死にもがく若者3人の12年間を描き、第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされた作品。かつて栄えていた産業が衰退し、アメリカの繁栄から取り残された「ラストベルト(錆びついた工業地帯)」に位置するイリノイ州ロックフォード。キアー、ザック、ビンの3人は、それぞれ貧しく暴力的な家庭から逃れるようにスケートボードに熱中していく。スケート仲間は彼らにとって唯一の居場所であり、もうひとつの家族だった。そんな彼らも成長するにつれ様々な現実に直面し、少しずつ道を違えていく。低賃金の仕事を始めたキアー、父親になったザック、そして映画監督になったビン。幼い頃からスケートビデオを撮りためてきたビンのカメラは、明るく見える3人の悲惨な過去や葛藤、思わぬ一面を浮かび上がらせていく。そんな彼らの姿を通して、親子、男女、貧困、人種といった様々な分断を見つめ、アメリカの知られざる現実を映し出す。

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行き止まりの世界に生まれてコメント(4)

gkjteby
gkjteby
本ドキュメンタリーの主役3人のひとりである、Bing Liu監督の驚愕のデビュー作。

出だしの印象は、「ニイちゃんたちがスケボで騒ぐ&はしゃぐだけのポップなプライベート記録映画かなあ」と思ったが、とんだ間違いだった。
恐るべくクオリティの高さ、構成の素晴らしさ。日本の「プロ」を自認するドキュメンタリー監督の方々にもぜひ観てもらいたい。

この作品にはいくつかの交差するテーマが内在する。

ひとつは日常の閉塞感から解放され、3人を結びつけるスケートボードの存在。
原題の「Minding the Gap」は「段差に気をつける」という意味。
ヒトは10代の息苦しさから逃れるための「drug」を求めるもの。彼らにとってはそれがスケートボードだったということ。

ふたつめは米国が抱える閉塞感と分断の社会のありのままの姿。イリノイ州のロックフォードは、中西部の15万人程度の小都市。主要産業は自動車関連で、ご多分に漏れず衰退する工業都市のひとつで公共サービスも治安も劣悪。その影響はロックフォードに住む多くの市民の生活に大きく影響を及ぼす。NYやSFのような華やかな都市ではなく、等身大の米国の都市とその生活を生々しく描いている。ニュースメディアのようにフォーカスする対象を勤労者層に求めるのではなく、「無産」の若年層の視点で描いているのが斬新かつ新鮮。

三つめは、深刻な家庭内暴力(DV)だ。
ロックフォードは米国の危険な都市ランキングで8位と都市犯罪も多いが、本作では父親からのDV、夫からのDVがを貫したテーマにおいている。親世代の低所得収入や失業が家庭内暴力に何らかのかたちで影響を及ぼしているといえるし、若者が今の生活に将来性を感じられず、かといって今の生活から容易に抜け出せない閉塞感を感じている。そのDVを受けてきた若者世代が自分たちの家庭でDVを繰り返してしまう負の連鎖。

仲間との生活をカメラを通して、内なる自分と「対話」し、ディストピアな世界から目を逸らさず、悲観的になり過ぎることなく、閉塞した世界から抜け出すきっかけのヒント(感じるヒントは人それぞれ)を淡々と描いている。
poprya
poprya
ネタバレ! クリックして本文を読む
Your whole life society tells you, like 'oh, be a man, and you are strong
and you are tough and margaritas are gay' you know, like. You know.
You don't grow up thinking that's the way you are. When you're a kid,
you just do, you just act and then somewhere along the line, everyone
loses that.
12年間と言う時間を考えた時、あなたは長い時間と考えるのか?そうでないのか? それが人生の晩年ならどうか?"構わないさ、何故って昼食べたものも忘れてしまうもの時間のこだわり、それがどうしたの?" ... なんて、それが小学生から大人になる一番の人間形成の肝心な時期、つまり反抗期を乗り越えた時期を友人が映像として克明に、しかも遊びながら全てを撮り収めていたとしたら... 特に被写体の彼らが、カメラを意識していない自然体の素顔が素晴らしい。 オープニイングの彼らがはしゃいで朽ちたビルの屋上や無人の?メイン・ストリートをスケートボードで滑走するシーン... 最初、女子力全開のモキュメンタリー風映画「Skate Kitchen(2016)」のようなものかと思っていたが、それが、彼らの冷めた感覚・感情から、間違いだとすぐ気づくものとなる。
"somewhere along the line"ッて? 当たり前の言葉が寂しくなるような響きに感じられるのは、未来の見えない若者の全世界共通の言葉なんですか?

According to research from the University of Illinois, about 47 percent
of all Rockford workers, 60,000 total earn less than $ 15 per hour.
Rockford has struggled with unemployment for years. Companies have
left, so, have the jobs.Out of all of Illinois, Rockford has seen the
largest number of people move away since 2010.
$ 15 ≒ 1590円(9月2日 7:38 UTC)これが賃金として高いのか低いのか?という事も大切だけれども、それよりも深刻なのが人口の流出が止まらないイリノイ州のロックホードの町の現状... 2017年の公式発表での人口の推移をみるとこの映画のテレビ・アナウンサーが示した2010年当時よりもさらに4.1%人口が減少している。➡ 失業者が増える ➡ 人口がさらに減る ➡ 負のスパイラルに陥る。

おそらく彼らはティーンエージャーという瞬く間に過ぎていく最高の時代を周りの環境に左右されることなく、友達と羨むぐらいに過ごすことができた輝ける限られた人達だったかもしれない。
この映画のハイライト... イリノイ州ロックフォードの虐待的な家庭で育った惨めな現実をリュー、ケイレ、ザックが簡単に忘れることがで来た理由.... "THIS DEVICE CURES HEARTACHE" と、ケイレがボードのデッキに走り書きしたメッセージ... 無機質なスケートボードがスケートボード以上の何もでもなくなっている。
自己逃避、自己確立、自己嫌悪について具体的に話す方法をまだ理解していない "coming of age" 前の過渡期の稚拙な心の表現手段なのか?ロックフォードという町の経済状況のどうしようもないものに呼応する以上に響いている。さらに彼らのおかれた環境の劣悪さが観ている者に訴えもしている。しかも自分の母親にインタビューなんて... 個人的には、彼らが既に幼い大人になっている証拠として、この映画のポイントと自身受け止めている。

この年のアカデミー長編ドキュメンタリー賞は、「フリーソロ」が受賞。その名の通り”フリーソロ”という”命綱などの安全装置を一切つけず、単身で岩山を登るクライミング・スタイル”を題材にした映画で興行収入と比例するように批評家からの支持も高いドキュメンタリー映画。しかもその分野でソロ・クライミング映画というジャンルとして確立された初めての映画とも言える。しかし個人的には、10年後、20年後なんて時間を刻む野暮なことをしなくても本作は若者の時代を問わない普遍性を描いた映画と自信を持って言える。

「無限の感性で、リュウ監督は友人の人生と彼自身の人生の最も苦痛で親密な詳細のいくつかを掘り下げ、そして21世紀のアメリカの人種、階級、人間性に関する豊かで破壊的なエッセイに彼の観察を重ね合わせている。」(2018.8.16付けのニューヨークタイムス)

親御さんへ... Common Sense Media が、この映画に対して、”パーティでアルコールやウィードのシーンやまた若者のアルコール乱用を克服しようとするシーン”が存在し、また言葉に関しても不適切な部分があると注意喚起をしている。彼らによると観賞に適切とされる年齢は、PG-16と指摘している。アメリカの子供たちの意見は、PG-14... 日本はちなみに”G” ってアリ?

エンドロール・クレジットになる前の時間... 彼らの近況が映し出される。その時に流れる曲が.... The Mountain Goatsによる ”This Year ” 彼らの門出を祝う応援歌です。あたたかく迎えてください。

♪ I broke free on a Saturday morning
I put the pedal to the floor
Headed north on Mills Avenue
And listened to the engine roar ~ ♫
rwdcrs
rwdcrs
舞台となるイリノイ州ロックフォードは、かなりやさぐれた街です。その街で、スケボーが大好きで、スケボーで繋がる近隣の貧しい青年たちの、青春と友情と家族とDVを赤裸々に記録したドキュメンタリー。2019年のオスカー候補になっています。白人、黒人、アジア人(本作の監督)と、人種の異なる3つの貧困家庭の青年が主人公で、当初、監督の友人たち(白人1名と黒人1名)がおもな被写体となって展開します。ところがある瞬間、監督が自らと自らの家族にカメラを向け、「自分ごと」として語り始める。この瞬間から、作品に深みが増大します。3人の関係はフラットになり、見る者の共感も強くなっていくのです。やはりドキュメンタリー監督は、体張んないといい映画撮れないよねってことでしょうか。
uilocna
uilocna
賞レースでも話題になったドキュメンタリー。その冒頭、まるでスケートボード映画が始まったように思えた私だが、描写を重ねるごとに、これがスケボーカルチャーを視座に、少年たちの成長や社会の変移に焦点をあてたクロニクルであることに納得がいった。そもそもスケボーは低所得者層の多い地域でも若者の間で広く根付き、彼らが絆を深めるきっかけとなりうる文化。個々のグループにはハンディカムで自分たちの技を記録する撮影担当もいたりして、こうやって残された映像記録が本作を構成する重要な素材となっている。あの頃、各々のメンバーは一体どんな家庭の悩みや問題を抱えていたのか。そして今、どんな思いを抱えて歳を重ねているのか。産業の錆び付いた故郷へ思いを馳せながら、かつてスケボーを走らせハンディカムを手にしていた映画監督がエモーショナルに紡ぎだす自分たちの記録。彼らに寄り添いながらこの10年の月日を共に噛みしめる自分がいた。